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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#7
SILVER CHARIOTU 〜King Crimson〜
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「しかし、“預かる” とは一体どのような御意向かな?
まさか、もう一度そちらのお嬢さんと立ち合えと?」
「……」
 垢抜けた振る舞いでそう問うフランス人の青年とは対照的に、
その手前から鋭い視線でアラストールを見る無頼の貴公子。
 あくまで少女の代わりに自分が戦う、その立場を譲る気はないようだ。
 その両者を見据えながら、深遠なる紅世の王は言葉を続ける。
「先刻の貴殿の “(ワザ)” は見事で在ったが、
戦いの終局とするには少々言い過ぎだろう。
そのような脆弱な鍛え方はしていない。
何より、アノ時この子はまだ剣を放してはいなかった」
 そう問う異界の魔神に対し白銀の騎士は、
「Oui、ごもっとも。しかし気が進まぬな。
このお嬢さんの剣には “迷い” が在る」
そう言って鍛え絞られた両腕を厳粛に胸元で組む。
「剣は心以上にその人間の 『真実』 を、残酷な迄に映し出す。
幾らパワーとスピードが在っても、ソノ太刀筋が見切られてしまえば
それはもう勝負等という領域に属するモノではない、一方的な惨殺だ。
そのようなモノは我が 『スタンド』 の名誉に似つかわしくない」
「うむ」
『剣技』 の腕では明らかに少女を上回る力量を持つ騎士に、
アラストールはその事実を認めた上で頷く。
 そして。
「そうだな。ソコで貴殿の相手を仕るのはこの子ではない。
紅世の王、“天壌の劫火” 足るこの我だ」
「!!」
「アラストール!?」
 想定外の提言に、同時のその瞳を見開く青年と少女。
(ペンダントのオメーが、一体ェどうやって戦う気だ?)
「アラストール……まさか、“アノ方法” を遣うつもりなの?」
 心中と口頭にて少女と青年がアラストールに問うたのはまた同時。
「うむ。すまぬがおまえの 『器』 借り受ける。
我が、出よう」
「……」
「でもそれじゃ、痛みも傷もアラストールが……!」
 意味不明の言葉が飛び交う為怪訝な表情を浮かべる青年とは裏腹に、
少女は心痛な瞳で胸元の契約者を見つめる。
「よい。戦場に赴く以上、血を流すのは当然のコト。
逆に怯懦に屈し、己だけ無傷な場にいるコトは相手に対し無礼に当たる」
「アラストール……」
 荘厳だがその裡に緩やかな温かさを遺した王の言葉に、
少女はその名を呼ぶ以外術をなくす。
「よいな? 空条 承太郎」
 同様の響きを以て、無頼の青年に問いかけられる声。
「……」
 青年は訝しげにペンダントを見つめていたが、
代わってやりたいのは少女だけではなかったのだが、
アラストールの心中の想いを察し、仕方なく折れる。
「アンタの戦い、オレも興味が在るな。お手並み拝見といかせてもらおうか」
 そう己の心を偽り、白金の青年は炎の魔神に背を向ける。
「フッ……」

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