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SAO−銀ノ月−
第百十四話
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しまいこんだ。レインは少し違和感を感じたようだったが、先の抜刀術を思い出してこちらの意図を悟ったのか、レイン自身も二刀を構え直す――いや、レインは今まで持っていた二刀を投げ捨てると、その二刀は中空に浮かび上がり、やはり俺を貫かんと狙いを付けるようになり。代わりというように、新たな二刀がレインの手の中に現れていた。

「ソードブレイカー、だよ。ショウキくん」

 アレはどんな剣だったか思索する前に、レインは自らその名前を告げた。髪の毛を直す櫛のような刃を持ったその短剣は、その名の通り――剣を破壊することに特化した性質を持つ剣だ。その性質をゲーム的に拡大解釈されたソレは、実際の現物よりも恐ろしい威力が込められている。

「その刀……壊してあげる!」

 レインの決定的な一言とともに、様々な武具が俺に殺到する。あくまでそれらはソードブレイカーという本命への繋ぎに過ぎないが、それらに殺到されればこちらのHPは一瞬で0になるだろう。それらが迫る中――俺は薄く笑った。

「……ナイスな展開じゃないか」

 迷ってるなら、なんて偉そうにレインに言ったが、何てことはない。そんなレインとセブンの関係に迷っていたのは、他ならぬ自分自身だったと――決意を込めたレインの眼光によって気づく。

「レイン!」

 ならばユウキの言った通りに、ひとまず正面からぶつかってみるのみだ。いつになく大声で叫んだ後に、俺はその場から高速移動術《縮地》により、再びその場から消えてみせる。

 とはいえ並み居る剣の壁にレインへの接近は出来ずに、レインがいる峡谷の側面に移動する。レインのOSSに発射される剣に、流石に誘導するような機能はないらしく、その隙に柄にアタッチメントを装着していく。

「そこ!」

 二回目ともなれば目が慣れてしまったか、レインは即座に俺の居場所を見つけてみせる。そしてレインの視界に俺が入り込んだ瞬間、再びレインの周辺に剣が生成されていく。先程放った剣たちもすぐさま回収されていて、あの弾幕ならぬ剣幕が絶えることはないだろう。

「お前ら姉妹の問題に、俺は踏み込めない! 踏み込む資格もない!」

 とはいえ、それら無尽蔵に湧いてくる剣と言えども、正面から馬鹿正直に突っ込んでくるのみに過ぎない。一つ当たればそのままボロ雑巾なのは確かだが、途中で方向を変えてくることはなく、その物量に惑わされなければ避けるだけなら簡単だ。

「いや……踏み込む気もない」

 翼を展開して空中に飛翔しながら、俺はレインに向かって叫び続けた。考え込みすぎて行動出来ないのが短所、などと言われてしまったことはあるが、今回も知らず知らずのうちにそうなってしまっていたらしい。

「だったら……黙ってやられてよ!」

 嵐のように吹き荒れる剣戟の中、
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