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SAO−銀ノ月−
第百十四話
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や事実は空想ではないのだと。

「スリーピング・ナイツのみんなと相談して、手分けして話そうって決めたんだ。ボクたちの自己満足かもしれないけど」

「……そうかもしれないな。だけど、おかげでもっと頑張ろうって気になった」

「ショウキ、言い方がイジワル」

 そういう事情があるとすれば、フロアボスをスリーピング・ナイツだけで倒すのに協力して欲しい、という申し出も今以上にやる気が出るものだ。ただし言い方が良くなかったのか、ユウキは不満そうにこちらを眺めていた。すると、ふと気づいたように慌てて付け足した。

「あ! でもレインやセブンには、フロアボス攻略戦が終わるまでヒミツだからね! これ以上、変な事情を持ち込みたくないんだから」

「そうだな……ああ、もちろん」

 どちらが先にフロアボスを攻略し終わるか、ということで勝負中のシャムロックには秘密だと念を押す。これからルクスとPK集団の件で何が起きたのか、シャムロックを含む領に説明をしに行くことになっているが、まだユウキたちのことを話す時期ではないだろう。……セブンにまで、『友達』について悩ませる苦悩は味あわせる必要もない。

「じゃ、そろそろ……どうした?」

 そろそろ、その各領とシャムロックに事情を説明しに行く時間となった、とユウキを見てみると。当のユウキは少しボーッとしていて、何かを考え込んでいる様子で、俺の問いにようやく意識を取り戻した。

「え? いや……ううん。何か……拍子抜けしちゃってさ。病気のこと話すまで心臓バクバクで、凄い怖かったのに……ショウキってば、何でもないみたいに」

「そんなことない。こっちも、いきなり言われて混乱しっぱなしだ」

 ユウキの言葉に、否定の意味を込めて首を振りながら。この話をし始めた時には、悲しそうではあるが笑みを浮かべていたユウキだったが、内心は言うことを怖がっていたと聞いて――安っぽい同情心を必死で内心に留めている今の自分としては、少しユウキに親近感が湧いて小さく苦笑する。

「でも俺たちの誰だって、何を言われたって距離を置く奴はいない……そんなんじゃ、SAO生還者やってられないからな」

 冗談めかしたその言葉に、堪えきれなくなったようにユウキは笑って。今まで悲観的でシリアスな話をしていたのが嘘のように、空気は和やかなものとなっていた。窓から外を眺めていると、気がつけばユウキが隣に立っていた。

「ありがとう、ショウキ。おかげでさ、勇気が出た!」

 あ、もちろんダジャレとかじゃないよ――と言ってから気づいたらしかったが、その満面の笑顔に釣られて笑みを深めて。スリーピング・ナイツのメンバーと手分けして、とは言っても、特に仲がよいアスナなどにはユウキ本人から言うだろうし、まだまだ辛いシチュエーション
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