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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#6
SILVER CHARIOT 〜Crescent Knight〜
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自動車等まだ燃費が悪くて使いモノにならん。
汽車や蒸気船、そして多くの移動には専ら馬に乗っていた時代だぞ」
 確信に充ちた表情でジョセフは周囲を見渡しながら、
自分の前で厳かに手を組む。
 ただソレだけで、重苦しかった周囲の雰囲気が
不思議と柔らかなモノへと変わっていく。
「飛行機でなくとも100日あれば、
一万キロのエジプトまではわけなく行けるさ。
ソコでルートだが……」
 ジョセフは一度言葉を切り、旅行鞄の中から真新しい世界地図を取り出して
円卓の上に拡げる。
「ワシは “海路” を行くコトを提案する。
船をチャーターするのに3日も要するのは正直イタイが、
一度海に出てさえしまえば、マレーシア半島を廻ってインド洋を突っ切り、
紅海を抜けてそのままエジプトまでは一直線。
いわば 『海のシルクロード』 を行くのだ」
 航路が解りやすいようにボールペンで線を引きながら、
ジョセフは途中補給に立ち寄る国に印をして自分の提案を説明する。
 ソレを何度か頷きながら、隣で注意深くみつめていた少女もその口を開く。
「私もソレがいいと想うわ。
陸は国境が面倒だし、アジア大陸はヒマラヤや砂漠が在って、
もしトラブったら大きな時間ロスを喰うリスクがいっぱいよ」
見かけに見合わない明晰な洞察力で、そう持論を語る少女。
 その有無を言わさぬ説得力に残りの二人は、
「ボクはそんな所には両方とも行ったコトがないので何ともいえない。
お二人に従いますよ」
「同じく」
各々そう応じて目の前の茶に手を伸ばすのみ。 
 異論は一切なし。
 余りにも呆気なさ過ぎるほど、全員一致で話し合いは終結した。
「……!」
 ジョセフを見て、晴れやかな表情で一度頷く少女。
 ジョセフも穏和な表情でそれに応じる。
 旅の出端は挫かれたが、コレでようやく希望が生まれてきた。
 空と太陽と潮風に包まれた、まだ視ぬ大海の彼方へと
フレイムヘイズの少女は想いを馳せる。
「さて、ソレにはまず腹ごなしが肝心だッ!
出国してからロクな食事を取っておらんからな!
ここはワシのオゴリで一つ豪勢に行こう!
何でも好きなモノを頼みなさいッ!」
 議論の妨げにならないよう、
中国茶と簡単な菓子の類しか注文していなかったジョセフ一行は、
ようやく本格的に店のメニューを開く。
(やれやれ、一体どーなるコトやら……)
 如何なる時でも常に前向きな自分の祖父の態度に内心苦笑しながらも、
承太郎はメニューに手を伸ばす。
「……」
 そして黒い本革貼り表紙を開いた彼の視界に飛び込んできたモノは、
意味不明の漢字の羅列だった。
 鳥だの牛だの魚だのの単語で、ソレが何の料理かまでは解るが
一体どのような「料理法」かまでは見当がつかない。
 
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