八話:想い
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もあり基本的に学校に物は置けない。
そのため計画的に持ち帰っていない生徒はこの日に大量に持ち帰るはめになる。
ぐだ男もそのような生徒の一部だったために両手に荷物を持った状態で廊下を歩いていく。
「ぐだ男君」
聞き覚えのある柔らかな声が耳に届く。
胸の高まりを感じながら、ぐだ男は静かに振り返る。
『ジャンヌ』
「重たそうですね。あの、いくつか持ちましょうか?」
『大丈夫。大したことないよ』
ぎこちない笑みを浮かべながら心配するジャンヌに断りを入れる。
しかし、その不自然さはしっかりと彼女に伝わってしまった。
心配そうに近寄ってきてぐだ男の顔を見つめる。
「顔色が優れませんが……どこか悪いのではないですか?」
『べつにどこも悪くないよ』
「本当ですか?」
身体はどこもおかしくないと答えるがジャンヌは納得しない。
さらに体を近づけぐだ男の様子を確認する。
「顔が赤いですよ、ぐだ男君」
『い、いや。本当に体はどうともないから』
「ジッとしていてください」
ジャンヌのシルクのように白く柔らかな手がぐだ男の額に当てられる。
一気に火照りが体中に広がっていき、しどろもどろするぐだ男。
「熱があるのではないのですか」
『だ、大丈夫だから』
「ナイチンゲール先生を呼んできましょうか?」
『―――ごめん。それだけはやめて』
ナイチンゲールの名前を聞いた瞬間に真顔に戻り拒否するぐだ男。
「ですが……」
『ほら、今日はもう帰って安静にしておくからさ』
なおも心配してくるジャンヌを振り切るために笑顔で告げる。
流石のジャンヌもこれ以上無理強いできないのか困ったような顔を浮かべる。
その様子に罪悪感を抱くが保健室送りにはならずに済むと胸を撫で下ろす。
だが、ジャンヌは次の瞬間に名案が思い浮かんだような顔をする。
「分かりました。では、一緒に帰りましょう」
『え…? いや、別に一人で帰れるし』
「ダメです。一人で帰って途中で倒れでもしたら一大事です。ぐだ男君は私が責任をもって送り届けます」
使命感に満ちた表情で頷き宣言するジャンヌ。
ぐだ男はそんな彼女にどうしたものかと頭を悩ますが結局何を言っても無駄だと判断し諦める。
『ありがとう。それじゃあ、帰ろうか』
「はい。辛かったらいつでも言ってくださいね」
太陽のような笑顔で見つめられ胸が苦しくなるが何とか押し隠す。
開放感溢れる空気の中、いつの日かのように二人で並んで下校する。
隣を歩く彼女の姿をチラチラと盗み見ながら自身の心を整理していく。
「そう言えば……最近はよくぐだ男と一緒にいますね」
『そうだね』
誰にでも優しく、それでいて気高
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