八話:想い
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教室に着き腰を下ろすぐだ男。背後でニッコリと笑う清姫。
ここ最近このクラスでよく見られるようになった光景だ。
「妻は夫の三歩後ろをついていくものですから」
『おかしいなぁ、俺まだ独身のはずなんだけど』
どこか遠くを見つめながらぐだ男はぼやく。
その後ろでは清姫が甲斐甲斐しく肩を叩いてくれている。
取りあえずこの状況を改善できないものかと彼は視線で助けを求めることにする。
ちょうど、ジャンヌ・オルタとモードレッドが視界に入り悩んだ末にモードレッドに助けを求める。
「オレかよ……。あー…お前、ぐだ男の奴が困ってるみてえだぞ」
「それは本当ですか? もし…嘘でしたら、私……自分を抑えきれませんわよ?」
嫌々そうな顔をしながらも助け舟を出すモードレッド。
その言葉に清姫の目がスッと細まり辺りに冷気が満ち始める。
「はぁ!? オレを疑うのかよ!」
「ええ。私、嘘は許せない性質でして。特にあなたのような人は疑わしくて」
「…! お前、まさかオレの…ッ」
嘘を見通す瞳を向けられ瞬間的に自身の服装を確認するモードレッド。
珍しく怒らずに慌てるモードレッドの姿にぐだ男は首を傾げる。
だが、それ以上にこのままいけば喧嘩になると悟り、口を開く。
『モードレッドの言ってることは本当だよ』
「旦那様……私のことはお嫌いですか?」
『嫌いとかじゃなくて、清姫みたいに可愛い子と密着すると恥ずかしいだけだよ』
悲しそうな顔をする清姫を慌ててフォローする。
突然惚れこまれて困惑しているが別段彼女が嫌いというわけではない。
寧ろ、積極的なスキンシップにドキドキとしている。
「嘘…ではないのですね?」
そして、彼女が嘘という言葉を口にする度に別の意味でドキドキしている。
『本当』
「まぁ、嬉しいですわ、旦那様。では、結婚しましょう」
『どうしてそうなるの?』
清姫は、基本的に気立ても良く可愛い女の子である。
時々、というより常に狂ったような過剰反応を示すところがあるが可愛い娘である。
「さー、今学期最後のホームルームよ。座った、座った」
『ほら、三蔵ちゃんが来たから席に戻らないと』
「……仕方がありませんね」
名残惜しそうな声を残して自身の席に戻る清姫。
その背中を見つめながらぐだ男は悩む。
素直に好意を向けてくれることは嬉しい。
しかしながら、それを素直に喜べるかどうかは別だ。
「明日から待ちに待った夏休み! ……と、言いたいけど午前中は夏期講習があるわね。御仏もおっしゃる通り世の中は無情なものね」
三蔵ちゃんの話を聞きながらジャンヌ・オルタの後姿を見つめる。
自分
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