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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十一話 困惑
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。対抗者を始め、その与党はこの五年の間に民間の企業に追い払われている。
その彼らが此処に来て蠢き始めている。今のところレムシャイド伯との繋がりは見えない。しかしこれから先は分からない。そしてその後ろには当然、今俺の目の前で微笑んでいる男の影があるだろう……。
門閥貴族を煽り、不平軍人を焚き付け、ヴァレンシュタインの命を奪う。ルビンスキーがこの男の死を願うのは当然過ぎるほど当然なのだ。そんな命令を受けた俺にこの男は助けを求めている。全く困った、俺はどういう表情をすればいいのだろう。
帝国暦 487年10月10日 オーディン 宇宙艦隊司令部 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
私は二日前から宇宙艦隊司令部で軍務についている。内乱が起きたら元帥に味方する、約束ではそうだったが、どうせ味方するなら中途半端な事はしたくないと思ったのだ。
参加するだけではなく、一人の人間として評価してもらいたい、そう思い父を説得し元帥に頼んだ。元帥は軍務省に私のことを説明し、一応中佐待遇で軍務についている。
今の私はヴァレンシュタイン元帥の副官見習い、そんなところだ。フィッツシモンズ中佐に副官業務を教えられている。中佐は丁寧に教えてくれる。元は同盟の人だから貴族の私には思うところがあるとは思うがそういうそぶりは欠片も見せない。
応接室からヴァレンシュタイン元帥とボルテック弁務官が現れた。ボルテック弁務官が帰ろうとすると元帥が“先程の話を良く考えてください”と言った。弁務官は一瞬困ったような表情を見せたが直ぐにこやかな表情で帰っていった。
元帥は執務机に座ると直ぐ書類を手に取ったが、書類を読まずに何かを考えている。珍しい事だ。この二日間で分かったのだが元帥は書類を読むのが大好きだ。
フィッツシモンズ中佐によれば書類を愛しているとのことだが当たっていると思う。そのくらい楽しそうに書類の決裁をする。戦場の武人としてより後方の軍官僚のイメージが強い。私には元帥が総旗艦ロキで指揮をとる姿がどうも思いつかない。
「閣下?」
「ん、どうかしましたか、フィッツシモンズ中佐?」
「いえ、何をお考えなのかと思いまして」
躊躇いがちにフィッツシモンズ中佐が元帥に声をかけた。元帥は少し考えた後、話し始めた。
「同盟軍、いえ反乱軍の陣容が決まったようです」
反乱軍の陣容が決まった……。ボルテック弁務官からの情報だろう。弁務官が元帥に伝えたのは元帥への好意からだろうか? それだけではないだろう。帝国に実力者に貸しを作ろうとでもいうのだろうか。
「統合作戦本部長はボロディン、宇宙艦隊司令長官はビュコック、そして宇宙艦隊副司令長官にはウランフ提督が就くそうです」
「!」
「ヤン・ウェンリー提督は宇宙艦隊総参謀
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