暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第238話 秘密
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ったから」


 ユウキの言葉。
 それについては、仲間達だけは当然その意味は、判っているのだろう。ランも、シウネー達も、何処か視線は この場にはなく、随分と遠くを見ている様な気がした。それだけで、語りたくない事なのだ、と言う事は、2人は理解した。
 全力でぶつかったからこそ、判る事もあった、と言う事だ。


 キリトに関しての本当の全力は特殊な部類だが、ゲーム(・・・)の中では全力だろう。……リュウキにも同じ事が言えるが。


 ここで、レイナの内にはある疑問が生まれていた。

「(キリトくんは――、実際に戦ってみたからこそ、相手の事を知る事が出来たんだ……。なら、リュウキくんは……?)」

 追及するつもりはない。
 それは、ほんの僅かに生まれた疑問だった。

 キリトが感じ取れたのであれば、リュウキはいったい何を感じたのだろうか? と。
 ユウキとではなく、ランと全力で戦っていて――、いったい何を感じたのだろうか。

 この時、レイナは改めて気が付いた。

 リュウキは、腕を組んで目を瞑り――何かを考えているのでは? と思える体勢のまま、言葉を発する事は無かった。

 そして、ランは そんなリュウキを 一瞬だけ、視線を向けて……そして 視線を戻した。
 2人にも、勝負の時に 何か感じる所が有ったのではないか?

 レイナは、そう思ったのだ。 

 だが、ここでもう1つ、ちょっとした疑問が浮かんだ。


――自他ともに認めている、ヤキモチ妬きさんである自分だったのに、今回はあまり……。


 と言う事。
 だが、よくよく考えてみると キリトが戦って負けた事や、実際に、自分達も戦ってみた事、つまり、沢山のインパクトがあったから、余裕が無かったから、と言えるかもしれないが。

「(う〜ん…… まぁ、良いかな……。今日知り合ったばかりなんだし)」

 レイナは今は 深く考えない様にするのだった。



 この時は、思いもしなかった――。

 
 
 感じた小さな疑問が、後々に少なからず、大きな波紋となる事が。

 過去から現在、そして 未来――。大きく広がっていくと言う事が。
 


 
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