7,弱者の誓い
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られそうな気がする。ましてや警官だから、あっちに戻っても捕まえられそうだ。
今は仕事で外出したアルゴの方とてこのアインクラッド唯一にして絶対的な情報屋だぞ。瞬く間にアインクラッド全土に俺の痴態が広まって、俺は確実に消される。社会的にもデータ的にも。
ハラスメント防止コードなど一切関係なく、俺は眠ることも出来ず、震えるしか無いのかもしれない。
「…………クロウくん、?」
不意に、ベッドの方から声が聞こえた。ヤヨイがやや体を起こし、コチラの方を向いている。
「ヤヨイさん!!大丈夫?」
駆け寄って見るが、弥生さんの方はまだどうなっているのかがわからないらしい?
「ここはホルンカ。深森から少し行ったところにある村だから安全だよ」
「そうか……私は助かったのか?」
「ああ」
「レイズさんは……?」
その言葉にグッと息をつまらせた。ポリゴン片が頬を掠めていく感触を思い出す。あの穏やかな表情も。
「……そうか、それではやっぱり現実だったのか」
夢だったらよかったのに。彼女はそう言って言葉を切った。
つぅぅ、と彼女の瞳から雫が滴り落ちていく。
「夢であればよかったんだ。彼が死ぬことも。私が一人で森に飛び込んだのも。この世界に私が飛んできたのも。私が…………私が生きているのも」
「……やめろ……」
「止めないよ。こんな幻想じみた世界で、私のせいで人が死んだんだ。キミはあの時自分が守れなかったといったがそうじゃない。あれは私が招いた死だ。私が…私さえ、いなければ」
「………やめろって……」
「本当は思っているんだろう。何も知らない馬鹿女のせいでって。責めてくれ。詰ってくれ。私のせいなんだ。私が悪いんだから……」
「止めろよ!!!」
思いっきり壁を叩く。<IMMOTAL OBJECT>の文字がウィンドウで出てくるが、正直気にならない。なんで、なんで。
「……さっきはごめん。俺、目の前で人が死んで、とにかく悔しくて。とにかく自分のせいにして怒りのやり場をどうにかしようとしてた」
「ああ。悪いのは私なんだ。君のせいではない」
「いや、違うよ」
驚きに、すっと眼が細くなる。綺麗な眼だ。素直にそう思った。
「俺でもヤヨイさんでも、ましてやアルゴやレイズさん自信でもないレイズさんを殺したのは−−この世界だ」
ナーヴギアに宿りし、仮初の鋼の城。その雄大な全貌を思い出しながら、俺は言い切った。
逃げかも知れない。やっぱり、俺やヤヨイさんにも責任はあるのかもしれない。
だけど、俺達は弱いから。。。自分で自分を恨んだら、さっきみたいにパンクする。
そこで狂ったら、俺はやっぱり世界に殺されたことになる。この虚構の世界に持ち込めた唯一の真実ーー心を殺されたことにな
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