第三十四話 カトレアの家出
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
内乱発生から1ヶ月。
ラ・ヴァリエール公爵家はというと、当然と言うべきか、王党側に属しゲルマニアが介入しないように国境線に目を光らせていた。
ラ・ヴァリエール公爵は毎日のように軍議を開き、積極的に中央と連絡を取り合っていた。
カトレアの嫁入りも無期延期になり。ここ数日は、妹のルイズの面倒を見て1日を過ごしていた。
現在、カトレアは動物達と共に遠乗りに出ていた。
内乱中にも拘らず外出したのは、領民を不安にさせない為の配慮と今まで飼っていた動物達を自然に帰す為だった。
内乱が王党側の勝利に終われば、予定通り王家に嫁入りする事になるが動物達も一緒に嫁入りするわけにはいかず、時間を見つけては動物達を野生に帰す活動をしていた。
麦畑の沿道を馬に乗って進むカトレア。
後には、多くの鹿、狐、鷹、熊、狼、等の猛獣が、土煙を上げ後を追う光景は、さながら百鬼夜行に思えた。
「おお、カトレア様じゃ」
「ウチの母ちゃんを治していただき、ありがとうございます」
農民達が作業を止め、頭を下げてカトレア一行を見送る。カトレアもニッコリと微笑み返した。
カトレアは時間を見つけては、薬箱では治せないような重病者を治して回る活動もしていた。
そんな事もあって、心優しいカトレアは領民に女神の様に慕われていた。
そんなカトレアがやがて王家に嫁ぐ。領民達は祝福しつつも、何処か寂しさを覚えていた。
……
鬱蒼とした森林へと足を踏み入れたカトレアと動物達一行。
カトレアは動物達の頭を撫で、森に帰るように促すと。一頭、また一頭と動物達はカトレアの方を何度も振り向きながら森の中へ帰っていった。
やがて、最後の一頭が森へと帰りカトレアと馬だけになった。
「さようなら……」
ポツリと呟き、ため息をついた。
結婚式が内乱によって無期延期になった事は、カトレアにとって衝撃だった。
そして、動物達との別れ……カトレアがこの森へ来る理由は領民を不安にさせない為の配慮と動物を自然に帰すこと、そして、もう一つの目的はこの森の中でで一人泣く事だった。
カトレアは馬から降り、近くの大きな木の下にすがり付く様に膝をつき、そして……
「……会いたい、会いたいです、マクシミリアンさま」
次期王妃の為の訓練の中で、人前では涙を決して見せてはならない。どうしても泣きたい時は国民の為に涙を流さなくてはならない。個人的な事でに泣く等持っての他。と強く言い聞かされていたカトレア。
13歳の少女には無体な要求だったが、カトレアはそれを実践しようと努力していた。
グッと声を押し殺して一頻り泣いたカトレアは屋敷に帰ろうと振り返ると、あらぬ方向から声がかかった。
「おっと
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ