第三十四話 カトレアの家出
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エージュはどの位の日数で到着するような距離なんですか?」
「馬で飛ばせば5日と掛からない距離ですが、なにせ内乱中です。検問やら何やら張っている事は十分考えられるでしょう。遅くも見積もっても10日以内には何とか……」
「それじゃ、早く出発しましょう」
カトレアは、遅くとも10日でマクシミリアンに会えることが嬉しくて、他のみんなを急かした。
「今から出発すれば、日が暮れる頃には次の宿場町に着きます」
「喉が渇いたんだけど。少し休んでいかない?」
のん気な誘拐犯Bが、休息を要求したが、
「今、休んでいたら日暮れまでに着かないだろ。早くいくぞ」
と誘拐犯Aににべも無く却下された。
日は西に落ちつつあったが、まだ日は高い。
一行は次の宿場町に向けて出発した。
……
カトレアは幸せだった。
今までは病気や勉強で領内に篭もりっきりで、旅行の一つもできなかったが。こうして知らない土地の風景や人々に触れ合う事ができて、言いつけを破ってでも旅を出た価値はあったと思っていた。
内乱中にも関わらず、国民達の顔に悲観的な色はなかった。
物価も安定していて、行く先々で食料品といった必需品の価格は安定していた。こういった非常時に必需品を買い占めて価格を吊り上げようとする不届きな奴も居たが、家臣団が価格の安定に力を入れたおかげで、相場は変動せず逆に買い占めた者が大損した例があった。こういった所にも当局の努力の後が伺えた。
マクシミリアンが駐屯しているというリュエージュへ向けて旅を続ける一行だが、日暮れまでに次の宿場町に着く事が出来ずに野宿する羽目になってしまった。
カトレアは野宿すら楽しいのか目をキラキラさせて、夕食の準備の為に鍋の中に魔法で作った水を入れ、塩を香草とキャベツと干し肉をぶち込み、火魔法でコトコト煮始めた
「御嬢、料理出来るんで?」
「屋敷じゃ厨房に立たせてくれなくて。わたし料理って一度でいいからしてみたかったの」
「え? じゃあ、料理は初めてなんですか?」
「そうなの」
カトレアはニッコリ笑い、狼達とじゃれ合いながら鍋をかき混ぜた。
「……」
「……」
「♪〜」
無言の誘拐犯とは対照的にカトレアは鼻歌を歌いながら料理を続けた。
そして、十数分後カトレアのスープが出来上がった。
「さぁ、召し上がれ♪」
カトレアは木椀にスープを盛り誘拐犯らに振舞った。ちなみに鍋や木椀といった道具は誘拐犯の所有物だ。
「い、いただきます」
「においは良さそう」
誘拐犯たちは同時にスープを呷った。
「どうかしら?」
「……」
「……マズ」
微妙な味だったらし
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