第三十二話
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「はいはい、クラウドの言いたいことは解ったわよ」
壁にもたれかかって微笑んでいた女性が、やけジュースを始めるクラウドを面倒くさそうに相手をし始めた。
「やかましいわこの……」
「え?」
クラウドが何か罵りの言葉を言おうとした瞬間、女性の微笑みが凍った。
いわゆる『目が笑ってない』状態で、何だろう、あの女性は罵り言葉を言われるのが嫌いなのか?
「あ、いや、何でも無いぜ!」
「そう? なら良いけどね……ああそう、私の名前は《リディア》よ。武器はチャクラムなの」
こちらに振り向き、微笑みながら握手を申し込んできたリディアに握手を返す。
今度は目まで笑っていて、常に微笑んでいる女性であった。
「う〜……私のご飯……」
クラウドとリディアという、残る二人の自己紹介をしている間、ずっとアリシャは机に突っ伏していた。
クラウドに食事をとられたことが、そんなにショックだったのだろうか。
「ほらアリシャ、残っている俺のならいるか?」
「良いの!?」
パァァという擬音が相応しいぐらいの喜びようで、アリシャは俺が差し出した皿を受け取った。
感情表現がオーバーにも程があるが、喜んでくれたようで何よりだ……若干、ペットに餌づけしているような錯覚に陥ってしまったが。
「それでね、ショウキ。ふぁなはにほのひるどにはひっへほひいのよ」
「食ってから喋れ……」
分かりやすい食いながらの喋り方を実践してくれたのはありがたいが、残念ながら俺には聞き取れなかった。
「……『あなたにこのギルドに入って欲しいのよ』だそうだ」
横で食後のお茶を飲んでいるヘルマンから、アリシャが言った言葉のフォローが入った。
なるほど、そう言ったのか……って、え?
「俺が、このギルドに?」
「ング……そう、その通り!」
このギルドの目的は、攻略組があまり目を向けないサブダンジョンに潜ったり、クエストを受けたりしてアイテムをゲットし、それを攻略組に売りつけること……ならばそれは、間接的にゲームの攻略に携わっていると言えるのではないか?
少なくとも中層ダンジョンに潜って、モンスター相手に八つ当たりするよりは……よっぽど。
「私たちは、みんなそれぞれ事情があって攻略には参加出来ないんだけど、この方法なら参加出来るわ……ショウキもそうでしょ? あんなに強いのに中層ダンジョンにいるんだから!」
アリシャから太陽のような笑みがこぼれるが……その分見るのが辛い。
俺はただ……怖いだけなのだ。
「ね、だから……私たち《COLORS》に入ってくれないかな?」
こうやって騒いでいても面白い連中で、悪い奴らじゃなそうだ……全員もちろんグリーンプレイヤーで
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