第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#5
TOWER OF GREY〜Illegal Needle〜
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止した空中から一oも動かず
野生の甲虫そのままの挙動で佇む。
(……)
瞬時に青年の裡で起動し始める、鋭い洞察力と深い判断力に裏打ちされた「戦闘の思考」
その刹那。
「じょ、承太郎」
自分の左隣から、切迫した少女の声。
その声に対し承太郎はスタンドに攻撃態勢を執らせたまま、
細めた流し目で一瞥する。
「……」
己のすぐ傍で、火の粉舞い散る紅髪の美少女がしきりに
オロオロとした表情で自分をみている。
今自分の胸中で渦巻いている感情を、自分でもどう扱ったらいいか
解らないとでも言うように。
(……)
何か敵の 「弱点」 でも掴んだのかと想ったが、
どうもそうではないらしいと解した承太郎は少女から視線を切り
再び眼前に向き直る。
「大したこたァねー。舐めときゃ治る」
刺突痕が開き全面血塗れになった右手を無造作にズボンのポケットに突っ込み、
ぶっきらぼうにそう告げながら。
「で、でも、でもッ!」
しかしそれでも少女は、変わらぬ狼狽した表情で自分に潤んだ視線を向けてくる。
そんな少女に対し裾の長い学生服に身を包んだ青年は、
「オレのコトより周囲の警戒を怠るな。
余計なコトに気ィ回すと、マジで舌根っこ引っこ抜かれるぜ」
感情を込めず端的にそう告げて、彼女の数歩先へと歩み出た。
その広く大きな背中を見つめながら、少女は心中で呟く。
(『余計なコト』 ……なんかじゃない……)
いいながらも心中でざわめく、自分でも理解不能の感情。
(今の私のこの気持ちは…… 『余計なコト』 なんかじゃない……ッ!)
半ば逆ギレにも近い心情で、少女は自分に背を向けた青年に叫ぶ。
「さぁ、て」
背後から少女の灼け付くような視線を感じたが、
今は自分の成すべきコトをするだけだと振り切った無頼の貴公子は、
スタープラチナに音速の多重連撃を繰り出させる為、
己の裡でその高潔な精神を高める。
スタンドの 「原動力」 は、人間の精神力。
故にその本体の精神が高ぶれば昴ぶる程。
スタンドはより疾くより強力に機動く。
熱く、激しく、燃え尽きるほどに。
「オオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!」
まるで壮烈なる光竜の息吹のように、承太郎の口唇から発せられる鬨の声。
それと同時にスタンド、スタープラチナの全身から立ち昇る、気高き白金の燐光。
その二つの波長が、完全に一致したその刹那。
『!!』
突如散大する、スタープラチナの双眸。
そして。
「ォォォォォォォォォォォラオラオオラオラオララオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオ
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