第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#5
TOWER OF GREY〜Illegal Needle〜
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一つ “貸し” よ。承太郎ッ!)
心中で鮮やかにそう叫びながら、少女はそのまま 『スタンド』 に向け
右斜め方向から高速の正面斬りを撃ち降ろす。
“手を出すな” とは言われたが、相手が承太郎に攻撃を仕掛けてくるのなら話は別。
この躰は抑えられない。
この心は止められない。
しかし。
(!?)
次の瞬間、そのスタンドは少女の眼前から完全に消え去っていた。
振り降ろされた大太刀はそのまま後に遺されたスタンドの残像を
透き抜けるのみ。
(そんな!? 私よりも疾いッ!?)
「後ろだッッ!!」
(!!)
少女が胸中でそう認識したのと胸元でアラストールが声をあげたのはほぼ同時。
咄嗟に振り向いた先、もう既にシャナの背後でスタンドが口を開け、
超高速の触針をその宝珠のような口唇に向けて撃ち放っていた。
(間に合わ、)
もう既に躱すのは不可能だと解した少女は、
己に迫るおぞましき触針を直視する以外術がなくなる。
ズァッッッッッグゥゥゥゥゥゥゥゥ――――――――――!!!!!!!!
(――ッ!)
想わず眼と耳を塞ぎたくなるような、生の肉が抉れる貫突音。
しかしソレと同時にやってくる筈の、軋るような激痛が襲ってこない。
眼前の事態を認識した次の刹那。
少女のその真紅の双眸が大きく見開かれた。
「グ……ウゥ……!」
漏れる苦悶と共にスタープラチナの巨大な掌が、自分の眼前を覆うように伸びていた。
伸縮するスタンドの触針はスタープラチナの右手を貫通して
完全に手の甲側を突き破り、そこで直進の動きを止められたまま
本体はその口から淀んだ灰色の体液を周囲に撒き散らしている。
「承太郎ッ!?」
庇ってくれた。
そのコトを認識するより後か先か、しかし少女が青ざめた表情で叫んだ瞬間、
スタンドの法則により本体である承太郎の右手にも向こう側が覗ける程の傷穴が穿たれ、
ソコから多量の鮮血が噴き騰がるように飛び出す。
(――ッッ!?)
少女が想わず悲鳴じみた声をあげそうになる最中、
承太郎はその怖気がするような苦痛に微塵も怯むコトなく、
即座にスタンドを操作して次の行動に移らせる。
音速で閉じるスタープラチナの掌握。
しかしスタンド、 『タワー・オブ・グレー』 の触手は
“ソレよりも疾く” 収縮してスタープラチナの傷穴から抜きいで、
音速の捕獲から余裕で逃れる。
「チッ、針を掴んでソコから蜜蜂のように腑
引き吊り出してやろうかと思ったが、
やれやれ、なかなかすばしっこい 『スタンド』 だぜ」
口元を苦々しく結びながら、承太郎は自分の右斜めの位置に廻り込み
耳障りな羽音を立てる奇虫のスタンドを睨む。
奇虫は次の襲撃の機会を窺うように、静
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