第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#5
TOWER OF GREY〜Illegal Needle〜
[6/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
その眼前で耳障りな羽音を響かせ暗い灰色の燐光を空間に撒き散らす
蟲型スタンドの全容が、翡翠の奏者の口を衝いて出る。
『灰 の 塔ッッ!!』
本体名−不明
能力−『近距離パワー型』、スタープラチナすらも上廻る超高速のスピード。
そして同じ超高速の触針で対象の舌を突き挿し、引き千切る。
破壊力−B スピード−A 射程距離−C
持続力−B 精密動作性−A 成長性−D
「うわさには聞いていたがコイツがDIOの配下になっていたとは……
『灰 の 塔』 は事故や災害に見せかけて
大量殺戮を繰り返す 『スタンド』
飛行機事故、列車事故、ビル火災等はこいつにとってはお手の物。
昨年イギリスで起こった死傷者が300名以上と言われている飛行機墜落事故は、
実はコイツの仕業だと 『スタンド使い』 の間で目されている」
椅子一つ挟んだ距離で己を語る翡翠の美男子の姿を認めた奇虫のスタンドは、
やがてその怖気の走るような下唇を蠢かせて喋る。
『ククククククククク……ご紹介に預かり光栄だな。
まぁ、今言ったコトは概ね本当だと認めておこう。
余りに手広く墜とし過ぎてどこの飛行機のどの便か迄は忘れたがね……』
「テメェ……ッ!」
奇虫が過去行ってきた残虐なる悪行に、無頼の青年はその口元を軋らせる。
『ククククククク……空条 承太郎。貴様だけは何をおいても真っ先に 「始末」 しろと
エンヤ殿から厳命を受けているのでな。
カワイソーだが今すぐにその舌を引き千切らせてもらうぞ』
「やれるもんならやってみやがれッッ!!」
眼前で耳障りな羽音を鳴り響かせ悪意に充ちた宣告をつげるスタンドに向かい、
青年は一歩も怯むコトなく吼える。
『クククク……言われずとも、殺ってやるさッッ!!』
そうスタンドが叫ぶと同時に奇虫の下唇が陰惨なる牙を無数覗かせながら裂け、
ソコから淀んだ体液に塗れた階層状の触針が超高速で飛び出して来る。
「!」
予想を遙かに超える速度。
しかし承太郎は己の精神を鋭く研ぎ澄ませ、
『灰 の 塔』 の口中から射出されるスタンド攻撃を迎え撃つ。
その再び音速のスタンド戦を繰り広げようとする両者の死角から突如舞い降りる影、
否、炎の人 影が在った。
(ッ!)
(!!)
その紅い流星のように飛来する、灼熱の存在に両者は同時に気づく。
紅蓮の火の粉を振り撒きながら空間に舞い踊る深紅の髪。
その裡に熾烈なる炎の燭を宿した真紅の瞳。
跳躍とほぼ同時に全身を覆っていた黒衣を気流に靡かせながら、
手にした戦慄の美を流す大刀を振り挙げて構える少女の姿を。
(
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ