第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#5
TOWER OF GREY〜Illegal Needle〜
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に眠りの世界へと誘われている。
静寂のキャビンに間断なく鳴り響くジェット・エンジンの噴射音。
その中に突如来訪する、ごく限られた者にだけ感知できる異質な音が在った。
「!!」
最初に異変に気づいたのは、承太郎。
即座に傍で深い眠りへと堕ちている少女に呼びかける。
「オイ、起きろ」
周囲の乗客に気取られないよう、青年は出来るだけ抑えた声で少女の肩を揺すり起こす。
「……ふ……ぇ……? な、に……? もう……着いた、の……?」
完全に熟睡していたらしくトロンとした寝惚け眼を擦りながら、
少女はフワフワした声で脇の青年に問いかける。
「違う。だが今、妙なカンジが背筋を走った。“いやがるぞ” もうこの機内に、
新手の 『スタンド使い』 が」
「何ですってッ!?」
しきりに下へと落下していた瞼が、一気に上へと跳ね上がる。
その少女の声に合わせて、ジョセフと花京院が同時に目を覚ました。
「……“いる……!” 間違いない……!」
「早くもDIOの刺客が襲ってきたか……!」
両者の声に合わせるように、突如キャビン内に姿を現す、異質な物体。
本来ソコにいる筈のないモノ。
ソレは、不気味な羽音を立てて縦横無尽に空間を飛び回る 『奇虫』 の姿。
怪異なる紋様の浮かぶ硬質な上翅を水平に拡げ、
血液の循環作用で赤みがかった半透明の後翅を展開して、
何かを模索するように機内を旋回し続けている。
「か……かぶと……いいえ、クワガタ虫ッ!?」
黒髪の少女がその姿を認め指差した瞬間、
奇虫は空間に鋭角の軌道を描きリクライニング・シートの陰に入る。
「むうぅ、座席の陰に隠れたぞ……!」
「機内にクワガタ、普通じゃあねぇな」
祖父とその孫がそれぞれ声をあげ、姿を消した奇虫の存在に神経を研ぎ澄ます。
「封絶ッ!」
威風堂々と前を向いたまま、鋭い声で無頼の青年がそう叫び、
自分の脇にいる少女に 『能力』 の発動を促す。
しかし。
「ダ、ダメ……!」
返ってきた声は、焦燥を孕んだ一言。
「出来ねーのか?」
咎めるような色はなく、青年は眼前に注意を払ったまま細い流し目で
脇の少女に視線を送る。
「そうじゃないけど、リスクが高い。普通の平野だったら大丈夫だけど、
今みたいに 『上空を常に高速で動いているような特殊な空間』 だと、
封絶の範囲指定が難しいの。無理に展開してもし因果の切り離しをミスったら、
最悪この機が墜ちるわ」
「 “やり直し” は考えるなってコトか」
告げられた事実から少女のサポートは期待できないと瞬時に割り切った
青年は、より鋭い眼光で前方の空間を凝視する。
「 “幽波紋” か?花京院」
少女の胸元のペンダントからあがる、荘厳な声。
「在り
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