第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#5
TOWER OF GREY〜Illegal Needle〜
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タワー・オブ・グレー》』 の、
その大顎に、その脛節に、その背板に、
その後翅に、その複眼に、その触角に、
ザイル状になったスタンドが幾重にも絡み付いて完全に動作を封じ
空間に拘束する。
身動きの取れなくなった超高速のスタンドは、唯一拘束を免れた下唇から
グジュグジュとおぞましき体液を吐き出しながらソコから抜け出ようと必死に藻掻く。
しかし何層にも渡って巻き絡められた 『法 皇』 の “結界” は、
そんな蟲ケラの無意味な抵抗などまるで意に介さない。
そうして完全に戦力を無にされた殺戮のスタンドに向かい、
花京院は変わらぬ清廉な声で言い放つ。
「解らなかったのか? 既にリクライニング・シートの中や下に、
ハイエロファントの触手や触脚が延びていたのさ。
“エメラルド・スプラッシュ” はソレを覆い隠す為の迷 彩
要はお前の飛行制空圏内全域をザイル状に引き延ばした
スタンドで蜘蛛の巣のように覆い尽くすコトが目的だったんだ。
ボクのハイエロファントの 「射程距離」 は最大50メートル。
ソレは同時にスタンドを糸のように細く引き延ばせば、
その全域にスタンドを潜ませるコトが可能というのも意味する。
「逃げ場」 を無くしてしまえば、幾らスピードが疾くても関係ないだろ?
違うか? ン?」
花京院はそう言って、自分を再び 「悪の道」 へと引きずり込もうとした
スタンドを睨め付ける。
『灰 の 塔』 の言ったコトは、
「ある意味」 では正しいと解される事象では在ったが、
今の彼に取ってソレは、自分自身の誇り対する許し難い侮辱でしかなかった。
「さて、待たせたな。空条」
スタンドをスタンドで空間に拘束したままの状態で、
腰の位置で端整に両手を組んだまま花京院は承太郎の方へと向き直る。
「!」
その中性的な美男子の、深いライトアンバーの瞳に映ったモノ。
(なるほど、な)
承太郎はソレを視ただけで、彼の意図を察する。
そう言えば、左手を撃ち抜かれたンだった。
眼前のスタンド戦に集中する余りスッカリ忘れていたが。
(借りはキッチリ自分で返しとけってトコか?
なかなかイキな処が在る男だな。花京院)
心中でそう呟き、承太郎は一歩前に出る。
『くっ、うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――!!!!!!!!!』
暗闇の中でスタープラチナの途轍もない存在感を感じた
『灰 の 塔』 は、己の全身に巻き付いて引き絞る
スタンドの触手の束を何とか引き千切ろうと暗い灰色の燐光を
振りまきながら懸命に足掻く。
ソコにまる
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