第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#5
TOWER OF GREY〜Illegal Needle〜
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びた触針は、
スタンドの肩を鋭く穿ち、人間の肩胛骨に当たる部分を突き破って貫通し、
背後のシートにメリ込む。
法則により花京院の女性のように細い肩口にも穿孔が現れ、
ソコから生温かい鮮血が勢いよく水流のように飛び出す。
本体が大きく体勢を崩しスタンドとスタンドとが繋がった状態で、
眼前の悪意の塊、『灰 の 塔』 は感心したように声を漏らす。
「ほう? なかなか良い反応だな。予め自分の攻撃(E・S)が
避けられると予測して動かなければ無理な反応だ。
視てから避けたのではもう遅すぎる。
だが、同じ躱し方が二度通用するとは思わないコトだ。
我が『灰 の 塔』のMAXスピードはこんなモノではない。
次はこの“塔 針”をお前の舌に突き挿して引き千切ると予告しよう。
今度は外さないようによ〜く狙ってな。ソレでも良いと言うなら再び攻撃を仕掛けてくるが良い」
『法 皇 の 緑』 の肩口から
血を現す 「生命の映像」 に塗れた触針を引き抜きながら、
『灰 の 塔』 は傲然と残虐なる結末を言い放つ。
(やっぱり花京院じゃ勝てない。ここは私が……!)
左肩から血を流しその部分の止血点を押さえながら立ち上がる
中性的な美男子の無惨なる姿を認めた少女が、
纏った黒衣を揺らしながら血気盛んに前へ出る。
そこに。
「待ちな」
自分の脇に位置する無頼の貴公子がクールな声でソレを制する。
「承太郎ッ! でも!」
敵も次は本気だ。
本気で 「殺し」 にかかる。
永年の経験則から、そんなコトはもう気配で解る。
しかしそんな少女の抗議の声にも隣の青年は変わらぬ声調で、
「いいから見てな」
ただ一言そう言った。
(!?)
その時の。
彼の淡いライトグリーンの瞳に映った色。
絶望的な状況なのに。
もう次の刹那に死んでしまうかもしれないのに。
彼が花京院を視る眼はその何れでもない。
何というか、温かな。
信じて見護っているような。
(なんか、違う……)
最初はほんの微かな違和感だったが、
次第次第にザワザワと不明瞭な感情が胸の中に広がっていく。
不安なような、不快なような。
そして何か。
嫌なカンジで熱い。
(私を視る眼と、花京院を視るコイツの眼は、何か違う)
最早眼前の死闘は意識の外に追いやられ、
少女の視線は傍にただ青年に釘付けとなる。
その彼の気高きライトグリーンの瞳に映る、
血に塗れた姿の翡翠の奏者。
痛みで引きつる肩を無理に動かして再び流法の構えを執り、
スタンドの掌中で眩いエメラル
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