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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十六話その3 友達や部下の心情把握は重要です。
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ネ」

 俺は低い声で言った。通信は防音処理の部屋で行っているとはいえ、向こうも含めて盗聴されていないとも限らない。そのため二人きりの時を除き、皇女殿下の敬称を省くことを取り決めしていた。

『なに?』
「前々から思っていたのですが・・・・。このままファーレンハイトとシュタインメッツをそばに置いておくのはいかがなものでしょうか?」
『というと?』

 聡明なカロリーネ皇女殿下は俺が何を言おうとしているのかを察知したらしい。顔色が変わった。

「今のままでは二人の才能が無駄になってしまっています。あの二人を、帝国に逆亡命させ、ラインハルト陣営に戻した方が良くはないかと思うのです」
『・・・・・・』
「彼らは有能な人です。窮屈に翼をたたんで過ごさせるよりも、翼を広げて飛翔できる機会を与えたいのですが」

 カロリーネ皇女殿下が目をつらそうに閉じて、嫌々をするように首を振った。

「気持ちはわかりますが――」
『彼らを返してしまったら、私はあなたしか頼れる人間がいなくなるわ・・・・』
「・・・・・・」
『こんなことを言うとあなたにさげすまれるかもしれないけれど、ここにきても私はとても不安なの。心細いのよ・・・。胸を張ってあの二人を送り出せたらどんなにいいだろうって思うのよ。でもね、やっぱり駄目なのよね』
「・・・・・・」
『別にあなたが頼りないとかそういうことを言っているんじゃないの。ただ・・・心細いのよ。あの二人が帝国に帰ってしまえば、自由惑星同盟はなし崩しに崩壊して滅びていくんじゃないかって思うの。そうなれば私もあなたも死んでしまうかもしれない・・・・』

 思わずと息が出てしまった。カロリーネ皇女殿下が言っていることはある意味で自己中心的なものであるが、一個人の心情としては理解でき過ぎてしまう。そして、戦略的にも俺の意見は間違っており、カロリーネ皇女殿下の意見は正しい。
 ファーレンハイト、シュタインメッツを仮にヤン・ウェンリーの指揮下で一個艦隊を率いて戦ってもらうとする。むろん二人が完全にヤン・ウェンリーの采配に従えば、であるが、おそらく帝国軍相手にかなりの勝負ができるだろう。いや、むしろ原作以上の勝利を得られるのではないだろうか。
一流の名将二人をただで帝国に手放すというのは、常識人から見れば「何をやっているんだ!?」と言われかねない暴挙だ。ただ、二人を同盟が上手く役立ててくれるかどうかがなぁ・・・。
 自由惑星同盟はまだ崩壊すると決まったわけではない。ヴァンフリート星域で損害を被ったとはいえ、艦隊を逐次増強させ、イゼルローン要塞級の要塞工事も順調に進んでいる。帝国侵攻という愚かな行為にさえ出なければ、安泰なのだ。コーネリア・ウィンザーもサンフォードも、そしてアンドリュー・フォークもこの世界では既に死亡
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