七話:恋する乙女
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を浮かべながらぐだ男の後姿を凝視し続けていたのだった。
ジャンヌとアストルフォとのお使いの翌日、ぐだ男はいつものように学校に来ていた。
結局、醤油の件は『女の子には優しくしなきゃいけないよ』という言葉を守ったので不問であった。
「おい、ぐだ男。知ってるか?」
『何、モードレッド?』
「なんでもこの中途半端な時期に転校生が来るらしいぜ」
『後、少しで夏休みだよね?』
「だから、中途半端って言ってるだろ」
モードレッドからもたらされた衝撃の情報に目を見開くぐだ男。
既に7月、後は夏休みに入るだけである。
こんな時期に転向してくるということは余程のことがあったのだろうと想像する。
『何はともあれ仲良くできたらいいな』
「お前いっつもそれだな。まあ、らしいっちゃ、らしいか」
呆れた顔で頷きながら自身の席に戻るモードレッド。
それと同時にタイミング良くチャイムが鳴り三蔵ちゃんが入ってくる。
「みんな、おはよー! 今日はビックニュースがあるわよ! 御仏も驚くぐらいのね」
いつもよりもハイテンションな三蔵ちゃんのテンションだが誰も驚かない。
何だかんだ言ってこうした情報は生徒の方が早く伝達したりするのだ。
「あれ? 何だか、みんな悟ったような顔をしてるけど……良い兆候ね! 立派な仏弟子…じゃなかった、大人になれるわよ!」
一瞬拍子抜けしたような顔をするがすぐに気合を入れなおす様は流石と言えるだろう。
「今日は新しい仲間を紹介するわ。さあ、入ってきてちょうだい」
三蔵ちゃんの言葉に従い扉が開かれ転校生が姿を現す。
真新しい制服に身を包んださらりとした髪が特徴的な美少女。
そして特徴的な金色の瞳。
『……あ』
見覚えのある姿にぐだ男は思わず声を上げる。
黒板の前に立ち自身の名前を書いていく少女。
そして、振り返り優雅にお辞儀をする。
「今日からこのクラスでお世話になります―――清姫と申します。
皆様どうかよろしくお願いいたします」
礼儀正しい所作と丁寧な物腰に拍手が送られる。
その光景に満足そうに頷き三蔵ちゃんが緊張をほぐすための質問をする。
「それじゃあ、清姫さん。何か好きなものはあるかしら?」
しばらく質問の内容に考え込んでいた清姫だったが満面の笑みを浮かべ答える。
場が騒然となる特大の爆弾を。
「―――旦那様です。好きな人も好きな食べ物も全部」
時が止まる。清姫の言葉に全員がポカンとした顔で固まる。
ついで全員がぐだ男の方をガン見する。
しかしながら当の本人も何が起きたかわからずにポカンとした顔のまま座り続けていた。
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