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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十八話 再起へ
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ランフ提督の言葉にシトレ本部長は愉快そうな口調で答えた。
「まあ、待ちたまえ。もう直ぐ分かる。きっと貴官らは驚くだろう。それだけは保証するよ」

本部長の言葉に私はビュコック提督達と顔を見合わせた。奇妙な沈黙が落ちた。不愉快ではないのだが落ち着かない。本部長を除いて私達は時折顔を見合わせて誰が来るのかと不審を募らせた。

五分ほども待っただろうか、ドアをノックする音がしてドアが開いた。現れたのはグリーンヒル中将だった。どういうことだ? グリーンヒル中将なら驚くようなことではない。そう思ったとき、さらにその後ろからスーツ姿の男性が部屋から入ってきた。

「やあ、待たせたかな、シトレ」
「少し待ったよ。政治家というのは人を待たせるのが仕事らしいな、レベロ」
「レベロ委員長!」

レベロ財政委員長だった。シトレ本部長とは幼馴染のはずだ。会わせたいのはレベロ委員長の事かと思ったとき、その後ろからさらに一人の男が現れた。

「やあ、待たせたようだね、君たち」
「!」
にこやかに笑いながら入ってきたのはトリューニヒト暫定評議会議長だった。

グリーンヒル中将、レベロ委員長、トリューニヒト議長がそれぞれ椅子に座る。本部長が会わせたいといっていたのはこの二人の事か。

シャンタウ星域の敗戦後、サンフォード評議会議長を首班とする最高評議会は辞任した。現在ではヨブ・トリューニヒトが暫定評議会議長として政権を担い、ジョアン・レベロは彼の下で財政委員長を務めている。

自分の表情が強張るのが分かった。何故此処にトリューニヒトが? 彼は主戦派でドーソン宇宙艦隊司令長官達の後ろ盾だったはずだ。言ってみれば私達とはもっとも縁遠い所に居る人物だ。その彼がどちらかと言えば和平派ともいえるレベロ委員長と何故此処に?

「どうやら揃ったようだ。そろそろ始めようと思うが?」
「そうだな、そうしよう」
シトレ本部長の言葉にレベロ委員長が答えた。

「知っての通り、私は今回の敗戦の責任を取って辞表を出した。後任者が決まるまでの間、統合作戦本部長として敗戦の残務整理を行っているが、ようやく後任者が決まった」

次期統合作戦本部長が決まった、私達が此処に居て話を聞いているということはこの中から選ばれるという事だろうか?

「次期統合作戦本部長はボロディン提督にお願いする事になった。宇宙艦隊司令長官にはビュコック提督が選出され、ウランフ提督は副司令長官としてビュコック提督を補佐する」
「!」

「ヤン中将、貴官は帝国軍の追撃から味方を守った功により大将に昇進しイゼルローン要塞司令官兼駐留艦隊司令官になる。グリーンヒル中将も同様だ、大将に昇進し宇宙艦隊総参謀長の任に就く」

「待ってください、本部長。我々が軍の要職に就くということですが
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