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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#4
DEPERTURES 〜旅立ち〜
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Oとの絶望的とも云える絶対的戦力差は、
何をどうしようとも覆し得るモノでは無かった。
 譬え、この世の如何なる存在で在ろうとも。
 しかし。
 一体誰が、今の彼女にそんなコトが言えるだろう?
 生まれて初めて、自分の大切な者を見る影もなく蹂躙され、
ただ傷つき哀しむ、この少女に。
 その少女を淑女は、彼女の髪を優しく撫でながら、
この世の何よりも温かく優しい声で呼びかける。
「アラ……アラ……甘えん坊……さん……ね……
よし……よし……私も……シャナ……ちゃんが……大……好き……よ……」
 とても、いい匂いがした。
 そして、とても温かかった。
 こんなに温かな存在が、この世に在るなんて信じられない位に。
 互いの意図はすれ違えど、互いを心から想い遣っているのは同じ。
 柔らかく温かな淑女の芳香に包まれながら、
少女は、一つの 『真実』 に気づきつつ在った。
 今まで想像だにし得なかった、
一つの 『真実』




“自分は、この人の 「娘」 だった”




 例え血は繋がっていなくても。
 譬え人間とは異なる存在で在ったとしても。
 この人は、ずっとそう想いずっとそう接してくれていた。
 ただ、自分が気づかなかっただけ。
 ただ、そんなコトは在り得ないと拒絶していただけ。
『真実』 は、いつだって、こんなに近くに在ったのに。
 ソレが、私の願っていたスベテだったのに。  
 淑女の柔らかな胸中に抱かれながら、少女は悔恨にきつく口唇を結ぶ。
 その刹那。
(!!)
 背後の異様な存在の気配の接近に、少女は視線を走らせる。
 自分の周囲に。
 淑女ごと己を取り込もうとするかのように。
 神聖なパール・ホワイトの燐光を立ち昇らせる無数の “荊” が取り巻いていた。
 薔薇に酷似した双葉がザワザワとさざめき、
その蔦の表面で嗜虐的な(けいきょく) が鈍い光を放ち、
うねるように蠢いている。
(来・る・なッ!)
 少女は、その視線を己が愛刀よりも鋭くギラつかせ、
自分の周囲を取り巻く 『スタンド』 を睨む。
(来るな!! 消えろッッ!! コレ以上ホリィに指一本でも触れてみろッッ!!
消し炭にするぞッッ!!)
 艶めく黒髪が火の粉を撒き、漆黒の瞳が灼紅の双眸に変貌する程の気勢で、
少女はその “荊” に向かって叫ぶ。
『スタンド』 へのダメージは、そのまま 「本体」 へと還る。   
 しかしそんな 「法則(ルール)」 は少女の裡で、紅世の遙か彼方まで吹き飛んでいた。
 譬え如何なる存在で在ろうとも、淑女を傷つけるモノは赦せなかった。
 やがて淑女の 『スタンド』 は、微かな余韻も遺さず立ち消える。
 そして少女が視線を戻した先。
「ホリィッッ!?
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