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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#4
DEPERTURES 〜旅立ち〜
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早い。
 そして、一体いつ戦いになるか解らない苛酷な旅なのだから、
可能な限り眠っておいた方が良い。
 だがしかし、どうしても眠る事が出来ない。
 以前は、己の体力を回復させるコトも使命遂行の一つだったので、
眠くなくとも眠りにつける訓練をしていた。
 無論脳は半分覚醒させたまま、ほんの些細な衣擦れの音でも
目覚めるコトが出来るように。
 でも、それが今、どうしても出来ない。
 心中は常にざわめいて意識の鈍化を抑制し、微睡みに落ちるコトすらも拒否する。 
 それに一人でいると、耐え難い孤独と自責の念が襲ってくる。
 その原因が解らないまま、少女は己の負の感情を振り切るように部屋を出た。
 雨。
 降り注ぐ、銀色の雫。 
 屋根瓦を伝った雨露が腕木庇に集まって水流となり、
幾筋も眼前で落ちていく。
 その視線の、先。
(!!)
 遠間に位置する幾つもの花々で彩られた、
いつもホリィがキレイに手入れをしていた花壇の中心に
一つの人影が在った。
「承……太郎……」
 半ば(おどろ) くように、そして残りの半ば拠るように、
少女はその人物の名前を口に出す。
 声は雨音に掻き消されて、彼にまでは届かない。
 そして少女に名前を呼ばれたその人物は、
彼女に背を向けたまま両手をズボンのポケットに突っ込み、
そのまま無言で雨に打たれ続ける。
 まるで贖いきれない何かを、必死に贖おうする殉教者のように。
(――ッッ!!)
 咄嗟に足下の床を踏み切り、彼の傍へ翔ぼうとする己を少女は辛うじて諫めた。
(……)
 降り注ぐ雨粒。
 その意図に、気づいたから。




“泣いてるんだ”




 空が、アイツの代わりに。




 そう。
 アイツは、こんな時でも、絶対に泣いたりなんかしない。
 泣いたって、喚いたって、ソレが何にもならないコトを知っているから。
 そうやって自分が苦しめば苦しむほど、ホリィが哀しむコトを知っているから。
 だから、ああやって雨の中、必死に堪えてる。
 抑えようのない、抗いようのない、怒りと悲しみと憎しみを、自分の裡に溜め込んで。
 その 「痛み」 に、必死に堪えている。
 ソレが、決して、ホリィに届かないように。
「……」
 雨音と共に、微かに震え出す少女の口唇。




 何が、出来る?
 ああやって堪えるしかない今の彼に。
 一体何がしてやれる?




 何も、出来ない。
 何も、してやれない。
 こうして見ている以外、何も。
(……)
 そして次第にその彼の後ろ姿を見るのも悲痛で、
耐え難くなってきた少女は足早にその場を去る。
 檜の床を踏み鳴らし宛もなく彷徨うように。
 今まで必死に鍛え
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