第一話:鉄の出会い:
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いよ。妖って言う、人間の前に滅多に姿を見せない存在さ。これはその妖の一種で、弧族って言うんだったかねぇ」
「・・・で?これのどこが良いんだ?」
ガジルが聞きたかったのは、その妖が何故、色んな闇ギルドが欲しがるのか、という事だった。すると、赤いターバンの男が口を開いた。
「弧族はな、魔法以上の力が使えるんだよ」
「・・・はぁ?」
魔法以上の力?何を言ってんだ、こいつは。
ガジルが首を傾げてみせると、女が再び口を開いた。
「簡単に言えば、弧族が妖の中でも上位って事だよ。その弧族の力があれば、すぐに名前が有名になるだろ?だからだろ」
・・・あぁ、つまりは名声欲しさか。
心の中で納得すると、ガジルは頭をガシガシとかいた。
「・・・ま、確かに面白そうだな」
そう言うと、ガジルはギヒッと笑った。
「買う」
「お兄さんならそう言うと思ってたよ」
女がそう言うと、二人の男が牢屋を開け、少女を引っ張り出す。
少女が「離せ!」と叫び、男に噛み付こうとして、女がパチッ、と指を鳴らした。
すると、少女はガクッと崩れ落ち、何やら苦しそうに顔を歪めていた。
「鎖の鍵はこれだ。暴れそうになったら、これを打込んでやんな。すぐに大人しくなる。弧族は一日一回の食事でも生き延びれるから、そんなに与えなくても大丈夫だ」
「わかった」
白い布の男から説明を受けると、ガジルは少女を担いだ。
「じゃあな。ギヒッ」
ガジルはそう言って、少女を抱えて女達に背を向けた。
「・・・離せ・・・クソ野郎が・・・」
しばらくして、少女が口を開き始めた。
「お前なんかの相手・・・してられっか・・・私は、行かなきゃ・・・なんない、んだぞ・・・」
「へーへー」
ガジルはそう言って、近くの裏路地に入って、担いでいた少女をおろした。
「おまッ、何するつもり・・・」
「何もしねぇっての」
「ッ、触んな・・・」
伸びてくるガジルの手をもがくようにして離れようとする。ガジルは少女の首を掴み、鎖を自分の方へグイッと引き寄せた。
「やめ・・・・?」
ふっ、と、首の周りから重みが消えた。その瞬間、首にあった鎖が地面にガシャッと落ちた。
「・・・・・・?」
少女が困惑の目でガジルを見たが、ガジルは既に別の行動に移っていた。
少女の両腕につけられていた鎖を外したのだった。
「っし。ほら、気分はどーだじゃじゃ馬娘」
「・・・・・・」
少女は混乱しながら、ガジルを見つめていた。
「・・・・何で・・」
「んだよ。鎖はつけたままが良かったのか?」
「んな訳ない!!け、ど・・・」
何で助けた?
少女の目がそう言っているのを、ガジルはしっかりと捕らえていた。
「・・・理由なんて言うつもりはねぇ」
「・・・行かなきゃ」
「は?」
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