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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#3
DETERMINATIONU 〜真意〜
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【1】


“その日” は、 訪れた。
 何の前触れも、脈絡も無く。
 ただ、当たり前の事で在るかのように。
 訪れた。



「フゥ……」
 承太郎には内緒で行った早朝の秘密特訓を終え、
いつものように広い檜造りの浴槽にゆっくりと浸かったシャナは、
一昨日前届いた丈のやや短い、そして右肩口に灼熱の高 十 字 架(ハイクロス)
の紋章が刻まれた特製のセーラー服に袖を通し、
上気した頬と緩んだ笑顔で、“いつものように” ダイニング・ルームの方へと
足を向けた。
 特訓の上々の成果による充足感と初夏の朝風呂の清涼感とに身を包まれながら、
“普段通りに” そのドアに手をかける。
 いつもなら、扉の隙間越しから洩れてくる淑女の可憐な鼻唄が
今日は “聴こえないコト” に気づかないまま。
「ホリィ、何か手伝う事」
 扉の縁に手をかけ、ひょこっと顔を覗かせる少女。
 その黒い瞳に、最初に映った、モノ。
「!!」
 常日頃手入れの行き届いた、塵一つないフローリングの床にブチ撒けられた、
無数の調理器具と色鮮やかな朝の食材。
 開け放され内部の蛍光が外に漏れだした大きな冷蔵庫の隙間から、
細く白い、一つの手が見えた。
「………………ぇ?」
 その光景を目にした数拍の後、ようやく少女の口から漏れた声は、
傍にいるアラストールにも聞こえないほど、か細く小さなもの。
 意識が認識するには、余りにも現実性を欠いた惨状。
 その表情に笑顔が凍ったように貼り付き、
少女は口を半開きにしたまま数秒そこに停止する。
 沈黙。
 在るのは、ただ、沈黙。
 眼前の出来事に対する、その回答の糸口すら与えられない残酷な静寂。
「ホ……リ……ィ……?」 
 かろうじて繋がっていた一抹の神経が、
足下の覚束無(おぼつかな)い危うい歩調で少女を進めていく。
 しかし床を踏みしめる足裏にはまるで現実感が無く、
水のない海面の上にでも立っているようだった。
(……?……?……???)
 少女の足を進ませるのは、コレが 「現実」 の筈がないという
断崖の薄氷を踏むかのような危うい願望。
 しかし。
 やがてその瞳に映るモノは、現実。
 どれだけ厭でどれだけ認めたくなくとも、
絶対に覆るコトのない、ただの 『現実』
「ホ……リ……ィ……?」
 半ば夢の中にでもいるような心持ちで、解れた笑顔のまま
苦しげに横たわる淑女の前で膝をつき、そのか細い躰を抱え上げる少女。
 その口唇から洩れる押し殺したような苦悶の吐息も、
布越しに伝わる異常な体温も、いまの少女には何の意味も成さない。
否、感じられない。
「むう……! 何という……凄まじい……熱だ……!」
 シャナと時を同じくして、目の前の惨状に喪心して
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