第十一話 良家の子弟の強み
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げな俺に片目をつぶってファイルを取り出すと、ブルーノはルーカスを引き込む理由を語り始めた。
「レーリンガー男爵家とツィンマーマン男爵家の三代前の当主は近衛師団で同期なんだ。直接の血縁はないけど回り持ちで親戚でもあるし、僕らよりはオイゲン公子の性格をよく知っている。家同士の付き合いも親密で、お互いの一族が経営する企業に一族を役員として送り込んだり郎党を推薦したりして密接に繋がってる」
『これは、いけるぞ…』
一分も話を聞くうち、俺はブルーノの案を取り入れてプランを修正したほうが成功率が遥かに高いと気がついた。
なるほど、いきなり押し掛けて大声を出すより同年のルーカスからまずは遊びに誘われたほうが出て来る可能性は高いだろう。加えて恨みを買う可能性も低くなる。屋敷で、自分の城で面子を潰されればオイゲン公子は俺を憎むだろうし、場合によってはツィンマーマン家の家臣や領民、最悪ルーカスやレーリンガー男爵家の人々までもが俺を憎むことだってあり得る。オイゲン公子は俺たちからすれば確かに鼻持ちならない豚野郎だが、家臣や領民からすれば自慢の若様なのだ。逆に好むところをうまくくすぐって動かす計画ならば、彼らの協力も得られるし将来に禍根を残すこともない。
「ルーカスが動けば、末流の帝国騎士や平民の家臣も動く。繋がりのあるツィンマーマン一族からも働きかけが強まる。そういうことか」
「そういうこと」
得心した俺にブルーノはにっこりと微笑んだ。
『これが、生まれながらの貴族か』
ブルーノの笑顔ににわか貴族と生まれながらの貴族の違いを改めて思い知らされ、俺は内心見下していたところもあったブルーノに対する評価を大いに改めた。才覚や知識では負けなくても、貴族社会の住人としての常識、思考法。貴族社会で生きる術では、俺はブルーノに遠く及ばない。ブルーノのそうした長所は俺を大いに助けてくれるだろう。
『心の底から思う。俺はいい友達を持った』
野心を司る心でいい拾い物をしたと思い闘争を司る心で負けたくないと思うかたわら、俺はブルーノと親友になれたことに心の底から感謝した。
もちろん、感激してばかりはいなかったが。
「…来週、装甲擲弾兵本部で装甲擲弾兵の戦技トーナメントがあるな。公子は戦技の試合は嫌いじゃない。ルーカスが一緒に観戦したいと言えば…オフレッサー大将に会わせるとでも言えば必ず、乗ってくる」
「さすが、アルフ。ツィンマーマン男爵もレーリンガー男爵も装甲擲弾兵には選ばれなかったけど、地上軍で勤務した経験がある。頼めばそのぐらいの口はきいてくれるだろう。あとは、君のプランどおりだ」
人脈、コネの活用法もしっかり勉強させてもらおう。
思いつきを修正プランにうまく組み込んだブルーノの頭の良さとこだわらなさに、俺はもう一度大神オーディンに
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