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SAO:アインクラッド
第38話 2人の真実
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がなかったのは?……AIにそんなこと起きるの?」

「恐らく、膨大なエラーの蓄積によるものだろう」

アスナの問いに答えたのは意外にもカゲヤだった。

「カーディナル、もしくはGMがユイにプレイヤーに対する干渉と接触を禁止したんだろう。そのせいでプレイヤーのメンタル状態のモニタリングしか出来ず、エラーを蓄積し続け崩壊した……そうだろ?ユイ」

「はい。マスターの言う通りです。私はエラーを蓄積させ、崩壊していきました……そんなある日、いつものようにモニターしていると他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメータを持つ2人のプレイヤーに気付きました。その脳波パターンはそれまで採取したことのないものでした。喜び、安らぎ……でもそれだけじゃない……この感情はなんだろう、そう思って私はその2人のモニターを続けました。会話や行動に触れるたび、私の中に不思議な欲求が生まれました。あの2人のそばに行きたい……直接、私と話してほしい……少しでも近くにいたくて私は2人の暮らすプレイヤーホームから1番近いシステムコンソールで実体化し、彷徨いました。その頃にはもう私はかなり壊れてしまっていたのだと思います……」

「それが、あの22層の森なの?」

ユイはゆっくり頷いた。

「はい。キリトさん、アスナさん……わたし、ずっと、お2人に会いたかった……森の中で、お2人の姿を見た時……すごく嬉しかった……おかしいですよね、そんなこと思えるはずないのに……わたし……ただのプログラムなのに……」

涙をいっぱいに溢れさせ、ユイは口をつぐんだ。

「ユイちゃん……あなたは本当のAIなのね。本物の知性を持っているんだね……」

アスナは囁くように言うと、ユイはわずかに首を傾けて答えた。

「私には……解りません……私が、どうなってしまったのか……」

「ユイはもうシステムに操られるだけのプログラムじゃない。だから、自分の望みを言葉にできるはずだよ」

今まで沈黙していたキリトが柔らかい口調でユイに話し掛ける。

「ユイの望みはなんだい?」

「わたし……わたしは………」

ユイは細い腕をいっぱいに2人に向けて伸ばした。

「ずっと一緒にいたいです………パパ……ママ……!」

アスナは溢れる涙を拭いもせず、ユイに駆け寄るとその小さな体をぎゅっと抱きしめた。

「ずっと一緒だよ、ユイちゃん」

少し遅れて、キリトの腕もユイとアスナを包み込む。

「ああ……ユイは俺たちの子どもだ。家に帰ろう……みんなで暮らそう……いつまでも……」

だが、ユイはアスナの胸の中でそっと首を振った。

「もう……遅いんです……」

「なんだよ、遅いって……」

「私が記憶をとりもどしたのは、この石に接触したせいなんです」
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