第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#2
SCARLET MIRAGE
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目な性格故に、戦闘訓練と反射的に口に出そうになった花京院は
咄嗟にその言葉を喉の奥へと呑みこむ。
だが、しかし。
「“戦闘訓練” だ。邪魔をしねーでもらいてーな」
その鍛え抜かれた両腕を胸元で組み、
無頼の貴公子が悠然とした佇まいで少女へ速答する。
「空条ッ!?」
“そんな言い方をすれば”、彼女が一体どのような反応を示すか
解らない筈はないのに。
しかしその承太郎の振る舞いを花京院が諫める暇もなく、
「うるッッッッさいッッッッ!!!!」
再び少女の怒声が周囲に響き、木々がざわめいた。
だがこの言葉を浴びせられた当の本人は、
別段狼狽えた様子もなくただ淡々とした表情で続ける。
「 “コッチ” のコトより “ソッチ” の方はどーなんだ?
もうスタンドは出たのか?」
「……ッッ!!」
別段棘や揶揄するような口調ではないが、
しかし今の少女には挑発しているようにも聞こえる承太郎の問い。
痛い処を突かれたように、少女は一瞬その小さな躰をやや引く。
しかし、すぐに。
「う、うるさい!! うるさいうるさいうるさいうるさい
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさァァァァァァァァァァい!!!!」
三度激高する。
「……」
額にピアニストのような細い指先を当て、
修復不能になってしまった眼前の事態に首を振る花京院の姿は目に入らず、
少女はその隣で傲然と構える無頼の貴公子を睨み続ける。
望んでいたのは、そんな言葉じゃない。
それにもう一体、何の為に “うるさい” と言っているのかさえ解らない。
ただそう言いたいが為に、目の前の現実を無理からにでも否定したいが為に
言葉を口走っているようにしか自分でも想えない。
これじゃあただの八つ当たり(最も完全にそうであるが)
物事が思い通りにいかなくて駄々をこねている子供以外の何者でもない。
自分が言いたいのはこんなコトじゃない。
こんなコトじゃ、 ない筈なのに。
「……」
思いつく様言葉を吐きだし、呼気を荒げる少女に向かい
その怒声を散々浴びせられた美貌の青年は件の剣呑な視線で、
「気がすんだか」
無感動にただそう告げる。
「――ッッ!!」
反論、かせめて訓戒でも口にしてくれれば、
売り言葉に買い言葉で今の自分の惨憺足る有様を誤魔化すコトも出来ようが、
こうも冷静に来られたのでは押し黙るしかなくなる。
コレ以上続けても、自分が惨めになるだけだから。
未熟な自分の姿を、ただ晒し続けるだけだから。
そんな彼女の心中を知ってか知らずか、
目の前の青年は再び感情を込めずに少女に告げる。
「さんざっぱらヤってみて、いい加減コレで解ったろ?
“オメーにスタンドは出せねぇ”」
「――ッ!」
駄目押しのよう
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