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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#2
SCARLET MIRAGE
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各々そう言って再び自室の方へと足を向ける両者に、
セーラー服姿のシャナもついて来る。
 涼やかな初夏の宵。
 どうやら随分と騒がしい、否、賑やかになりそうだった。 



【5】

 その日の夕食後。
 空条邸お決まりの屋根瓦の上で視た夜の街は、
今まで視たどの景色よりも鮮やかに視えた。
 寝間着を揺らす夜風も、何よりも優しく頬を撫ぜた。
 ただみんなで集まって、共にテーブルを囲むという、ありふれた行為。
 たったそれだけのコトなのに、とても楽しかった。
 まるで、今まで自分がずっと追い求めていた、
意味も実体も無いものを、突然分け与えられたかのように。
「!」 
 階下、 承太郎の部屋の位置から聴き慣れた洋楽のメロディーが、
微かに外へと洩れて耳に届く。
 多分窓が開いている筈だから、いきなりここから部屋の中へと飛び込んだら
ビックリするだろうか?
 ……
 でも、今日は止めておこう。
 アイツも(表情には決して出さないが)訓練で疲れているだろうし、
明日からの為にゆっくり休ませてあげよう。
 何事もメリハリが肝心。
 そう想いながら一度深く頷いたシャナは、
その後同じ年頃の少女達がそうするように
無垢で柔らかな笑顔を浮かべ、組んだ膝の中へと埋める。
「……」
「……」
 自分も、アラストールも、互いに無言。
 それでも、互いに感じている事は、心から望んでいる事は、
同じだと想えた。
(このまま……今日みたいに……)
 そうやってずっと、アイツと訓練を続けていけば。
(いつか……必ず…… “アノ男” 以上に強くなれる……!)
 直感以上の、たしかな確信。
(私とアイツが怖くて……その姿をみせないのなら……好きにすればいい……)
 その間に、もっともっと強くなってやる。
(やるべきコトは……ううん…… “ヤれるコト” はきっと……
数え切れないほどたくさん在る……!)
 アイツとの連携技、 融合業、 その他様々な戦闘コンビネーション。
 ソレらの可能性を考えているだけで、 今から理由もなくゾクゾクしてくる。
(勝てる……! 絶対……! アノ男に……ッ! 私とアイツで……!!)
 未だ以てその居所は解らないが、 きっと、 そう遠くない未来。
 共に成長した能 力(チカラ)を開放して、 統世王の宮廷内を駆け抜ける二人の姿。
 預言者の携える啓示のように、一切の歪みなき確定的な映 像(ヴィジョン)
(その先には……きっと……きっと……!)
 ワケもなく裡で脹れ上がる期待が。
 これからきっと訪れる無数の “希望” が。
 少女の存在を充たしていく。




“こんな日々が、 ずっとずっと、 続いていけばいい”
“きっと、 ずっとずっと、 続いて
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