第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#2
SCARLET MIRAGE
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の構成が近似していれば、
“アノ者” と似通った姿を執るのも当たり前のコトだ)
ならば、しかし。
“そう考えるのならば”
たったいま、 少女の手の中で生まれた小さな存在は、
“初代・炎髪灼眼の討ち手” と “二代目・炎髪灼眼の討ち手”
その二つの存在の 『融合体』 と云った処だろうか?
だがそれよりも、意を向けるべきは、この事実。
誰よりも永きの時の流れの中、
幾千の戦場を “彼女” と共に歩んだ自分自身ですら、
予想も出来なかった『真実』
“彼女” は、生きていた。
その愛しき姿のスベテ。
その狂しき想いのスベテ。
一片も遺さず紅蓮の灰燼と化そうとも。
その存在は。
“存在だけは”
決して滅びるコトは無く、自分の存在の中で生き続けていた。
そして。
ずっと、見護ってくれていた。
自分、を。
そして。
そし、て。
いま、他の何よりもかけがえのない、二人の想いの結晶で在るたった一人の少女。
“シャナ” を。
“いつでも……傍に……”
空耳。
本来、聴こえる筈のない声。
もうどれだけ追い求めようとも、決してこの世には存在しない声。
でも、聴こえた。
確かに、聴こえた。
神遠なる紅世の王、 “天壌の劫火” アラストールにだけは。
(消えぬ……のだな……)
胸中に沁み出る、 万感の想い。
(ヒトの生きた 『証』 は……譬え……何が在ろうとも……)
心象の裡で甦る、彼女のけがれなき笑顔。
夕闇の渇いた風が、 傍で鳴いている。
まるでこの世ならざる一人の王を、 慰撫するかのように。
「……」
その王はやがて、自分の存在を宿す少女と同様、目の前の一人の男に視線を向ける。
たったいま気がついた、 そして確かに実感した、『真実』
ソレを解き明かすキッカケと成った、 遍く星々の存在を司る青年を。
「……」
その青年は自分の視線に気づいていないのか、
或いは知っていて意図的に気づかないフリをしたのか、
少女のようにこちらへ視線を返すコトはなかった。
(……)
ソレが、青年の自分に対する報いだと解したアラストールは、
返礼として自分も彼から視線を外す。
言葉は要らない。
現世と紅世。
例え異なる世界で生まれた存在であろうとも、
同じ “男” で在るのなら。
ただソレだけで、 充分事足りた。
「……ところで、コイツの “名前” は一体どうするんだ?」
再び少女に視線を戻した青年が、静かな口調で問いかける。
「ふぇ? 名前?」
微細な火の粉を散らしながら、手の中でトコトコ動き回る小さな存在に
すっかり目を奪われていた少女は、不意
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