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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#1
NEXT STAGE
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視線で二人の瞳を覗き込む。
 もう “こうなると” テコでも動かないコトは
二人共充分(過ぎる程)解っているので、
少女の我意(ワガママ)を押し通す最終奥義、
“泣く” を使われる前に(その殺傷能力に自覚の無い処が真に恐ろしい)
不良生徒はその 「役」 を優等生に押し付ける。
「やれやれ、花京院任せたぜ。オレァこーゆーのは苦手だ」
 そう言って軽く花教院の肩に手を置き、
一服する為に鳥居の外へと足を向ける。
「イヤ、 そう言われても、 ボクも困るのだが……」
 珍しく狼狽の色を表情に出す中性的な美男子に向けて、
当の本人は背を向けたまま軽く手をあげるだけで
この件を終わったコトにしてしまう。 
「……」
 仕方ない、ダメ元でとスタンドの出し方をシャナに教えようとしたその時、
件の少女の姿はもう彼の目の前から消えていた。
「……」
 気も早く、 鳥居を潜る前からもう煙草を口唇の端に銜えていた無頼の貴公子の、
その引き締まった腰に巻き付いた二本の革のベルト内一本が、
突如学ランの上から凄まじい力で引っ掴まれ、
“振り向いていないのに” まるで 「この世」 から 「あの世」 に
連れ去られるが如く、 背後に高速で引っ張り込まれる。
「ッ!?」
 予期せぬコトに体勢を崩して膝を折った青年の広い胸に、
更に予期せぬ呼吸も止まるほどの衝撃。
 そのまま石畳の上に押し倒され弾みで(したた) かに頭を撃った彼の脳裡に、
何故か浮かんだ “圧迫祭り” とかいう意味不明な単語を
承太郎が認識する間もなく視界に入ったのは、件の少女の凛々しい風貌。
 正確には、その上半身。
 石畳の上に仰向けの体勢となった自分の上で馬乗り(マウント)になり、
身を(よじ)って逃げられないようしっかりと脇腹に膝を 「入れ」
完全にロックされている。
 引っ張られた勢いで口から飛んだ煙草が地に落ちるのを確認したのは、
その後だった。
「……」
 もう吸えなくなってしまったが、 手入れの行き届いた神社の清潔な境内(けいだい)
汚すのは(はばか) れるので承太郎が煙草に手を伸ばそうとした瞬間、
再びとんでもない力で今度は襟元が引っ張られ、
無理矢理前方へと引き起こされる。
「……」
 その目の前。
 鼻と鼻とがくっつきそうな超至近距離で。
 キッとした鋭い視線の少女が、自分の瞳を覗き込んでいた。
「……」
 脳裡で 『いつぞやの光景』 が、 意志とは無関係にフラッシュバックし
無頼の貴公子はその美貌を眼前の美少女からやや引く。
 少女はそんなコトなど知らぬ存ぜぬのまま、きつく結ばれた口唇を開く。
「いい? よく聞きなさい?」
 何故か満面の笑みで一言そう前置きした後、
少女は先刻以上に視線
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