第一章
[2]次話
犬猿の仲
大溝幸男は自分達の番組の会議の時にだ、ディレクターとしてこうしたことを言った。
「やっぱりうちは動物番組だからね」
「はい、動物をもっとですね」
「出すべきってことですね」
「何か最近ね」
どうもとだ、大溝は眼鏡をかけた顔で言ったのだった。
「マンネリっていうかね」
「動物が出てませんね、前に」
「タレントさんのコメントに比重がいっていて」
「もっと動物を出す」
「そうしていくべきですか」
「そうしよう、それで考えたんだけれど」
腕を組みつつ言う。
「動物の諺あるよね」
「はい、色々ありますよね」
「猫の額とか」
「あと鳩が豆鉄砲とか」
「豚に真珠とか」
「馬の耳に念仏とか」
「そう、実際に動物は諺通りか」
それをというのだ。
「実証するコーナー置こうか」
「そうですね、じゃあ」
「やってみます?」
「動物は本当に諺通りか」
「そうなのかを」
「それをやろう」
大溝のこの提案にだ、スタッフ達も頷いてだった。
番組の中で実際に諺コーナーが設けられた。そしてそのコーナーの中で動物達は実際に諺の通りなのか検証された。
このコーナーは好評でだ、番組もだった。
「視聴率上がってきてますね」
「いい感じに」
「勉強になるし面白いって評判ですよ」
「ネットでも宣伝されてますしね」
「ああ、当たったな」
提案した大溝もだ、微笑んで言った。
「これならいいな」
「はい、それじゃあですね」
「これからも諺コーナーやっていきますか」
「そうしますか」
「そうしよう、タレントさん達からも評判がいいしな」
出演者である彼等からもというのだ。
「タレントさんのトークに頼るよりも」
「動物番組ですからね」
「何といってもですね」
「動物を前に出す」
「そうしましょう」
「よし、それでな」
ここでだ、大溝は笑ってスタッフ達に言った。
「今度の諺コーナーはな」
「はい、何の諺でいきますか?」
「それで」
「犬猿の仲でどうだ?」
会議の場でだ、彼は言った。
「これで」
「ああ、あの諺ですか」
「あれを検証しますか」
「仲が悪いっていうな」
その犬猿の仲という諺の意味はだ。
「よく」
「それの代名詞ですね」
「今でもよく使いますね」
「犬猿の仲っていうと」
「本当にお互い嫌い合っていて仲が悪い」
「そうなんですね」
「そう、しかもな」
大溝はここでこんなことも話した。
「猿と河童も仲悪いんだよ」
「へえ、そうなんですか」
「猿って河童とも仲悪いんですか」
「そうなんですね」
「熊本で河童が大勢で悪さをしまくっていてな」
昔の話もするのだった。
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