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アインクラッド篇
movement V 迫り来る狂気の行進曲
剣聖の怒り
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「え?」

どこを見ても花などない。ただ苔のような物が覆っているだけだ。

「そんな………。」

もしかして情報が嘘だった?そしたらピナは?助からないの?

「おいおい、早とちりすんなって。」

「え?」

アマギさんの言葉にもう一度岩を見る。すると、苔むした岩から細い茎が伸び始めていた。みるみる育って蕾をつけたそれが開く。白い、小さい花だ。

「そいつがプラウネの花だ。花の中の雫を心アイテムに掛けると蘇生できる。」

「此処は強いモンスターが多いからな。街に戻ってからにしよう。」

「っ……………ハイ!」

涙ながらにそう答え、二人の後をついていった。

帰りはエンカウントをなるべく避け、大体四十分くらいで丘の麓の橋に着いた。そんなとき、キリトさんとアマギさんが互いの顔を見合わせた。

「いるな。」

「ああ、いる。」

「橋の前、か。どうする?向こうを待っても良いけど。」

「いや、それだと色々めんどくさそうだ。」

「じゃ、」

「おう。」

何やら二人の間で話が纏まったようだ。と、キリトさんが一歩前にでて大声で近くの木陰に話しかける。

「そこにいる奴。出てこいよ。」

そこにいる?どういう意味だろう。

首をかしげていると、木陰の空間が一瞬揺らいだ。かと思うと、女の人が一人、突然姿を表した。その人は私も知っていた。

「ロザリアさん!?」

革の軽装鎧を装備し、十字槍を携えたその女性は、間違いなくロザリアさんだ。

「あら、私の隠蔽スキルを見破るなんて、中々の索敵スキルね。」

隠蔽(ハイディング)?なんでこんなところで。これじゃあまるで―――待ち伏せみたいな………。

「その様子じゃ、首尾良くプラウネの花をゲットできたみたいね?」

そう言うとロザリアさんは、獲物を値踏みするような、気味の悪い目で私たちを見た。

「じゃ、早速渡して頂戴。」

「な!?」

何を言ってるんだろう?そんな………出来るわけが!

「ああ、別にくれなくてもいいわよ。殺すだけだから。」

殺す?その言葉を裏付けるように付近の森から沢山の男性プレイヤーが出てくる。その数、およそ30人。

「……全く随分とまあ、有象無象をかき集めたもんだなぁ?ええ?オレンジギルド《タイタンズハンド》のリーダー、ロザリアさんよぉ。」

オレンジギルド!?アマギさんがさして慌てもせずにいい放つ。でも、ちょっと待って。

「ロザリアさんはグリーンなんじゃ……」

「オレンジギルドと言ったって、全員オレンジじゃない場合も多いんだ。グリーンのメンバーが街で獲物を見繕い、圏外に誘きだして殺す。」

「ふーん。良く知ってるじゃない?ならなんでその子について
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