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第二部 WONDERING DESTINY
プロローグ 〜ANOTHER ONE BITE THE BURST〜
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学生服の内側から慣れた仕草で煙草のパッケージを取り出し
その一本を端正な口唇の端に銜える。
 パチンッ!
 その脇に位置した凛々しき少女が、その繊細な指先を弾いた。
 音韻の先で一抹火花が弾け、青年の銜えていた煙草の先端に火が点る。
 青年はソレが当たり前の事で在るように、口唇の隙間から細く紫煙を吹き出す。
 少女はただ、叫声を挙げる眼前の魔狼を見据え続けた。
 火の粉を撒いて靡く紅い髪と同じ、灼熱の輝きを(とも)した真紅の瞳で。  
『道』 を(たが)えた哀れな一人の “フレイムヘイズ” と、
その 「契約者」 で在る狂 猛(きょうもう)なる紅世の王を。  



『GUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUAAAA
AAAAAAAAAAAAAAAOOOOOOOOOOOOOOOO
――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!』



 先刻のモノですら較べものにならない、
極大の響きを以て轟く魔狼の叫喚。
 その大気の狂瀾のみで皮膚を引き裂き、
骨骼(ほね)を揺るがし、臓腑を震わせるが如く。
 ソレと同時に迫り上がった魔狼の前脚が
アスファルトの大地を踏みしだく、否、蹂躙する。
 直下型大地震のような大地の鳴轟が、周囲全域に響き渡った。
「覚醒だ」
 不意に少女の胸元からあがる、荘厳な声。
 遠雷のように重く低い響きを持った、「男」 の声。  
理解(わか)っているな。彼奴(あやつ)の討滅以前に封絶が先に破られれば、
この惨状が外界と繋がり存在の大消滅を引き起こす。
その事を(むね)として行動せよ」
 紅髪の少女の胸元で静かに光を称える
指先大の漆黒の球、金色のリングが交叉して絡められた
ペンダントからその男の声は発せられていた。  
 (くだん)の青年はそのコトを当たり前の事実として受け入れ、言葉を返す。
「フッ…… 『アレ』 だけでも骨が折れるってのに、
御丁寧に時 間 制 限(タイム・リミット)付きかよ。
おい? 出来るか? “シャナ”」
 青年は銜え煙草のまま微笑を浮かべ、
からかうように脇の少女へ問いかける。
「出来る出来ないじゃ、ない」
 そう言って一際強く輝く、灼紅の双眸。 
「“ヤる” のよ!! 私とおまえで!! “承太郎ッッ!!”」
 乾坤の叫びと同時に舞い踊る、
深紅の髪から発せられた紅蓮の火の粉。
 窮地に在ってもなんら色褪せる事のない、
少女の強い言葉に、その気魄(きはく)に、
青年は微笑を浮かべつつお決まりの台詞(セリフ)を返す。
「やれやれだぜ」
 そう一言だけ呟いた青年は、
一度ゆっくりとその瞳を閉じ、己を決意を噛みしめる。
 そし、て。 
 再び見開かれた
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