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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第14話『魔蝕病』
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常に悪い。

 空気中には埃が舞い、患者達が寝かされているのは簡素なボロ布。水も部屋の端に大壺に貯められた分しかなく、心なしか濁っているようにも見えた。

 それも、この地域一帯の貧困状態故なのか。

「……流行病でもあるのか?」

「流行病という訳ではない。……彼らは全員、以前この村に攻めてきた魔族達によって、大小問わず負傷を負った者達だ」

「って事は、『魔蝕病』か」

 ……それはあまり有名な病気という訳ではない。が、ジークのように魔族と戦う者達にとっては常日頃気を付けねばならない病だった。
『魔蝕病』――魔族の因子が傷を通して人体に取り込まれ、拒絶反応により引き起こされる病。酷い咳に熱、下痢、激しい嘔吐感に加え、体内魔力の暴走。未だその治療法は確立されておらず、因子の摘出方法すら解明されていない。そして病が進行した果てに、この病は主の魂を喰らい、その肉を理性無き異形の怪物へと変えるのだ。

 故に、この病を患った者は、意志無き魔族となる運命を定められるも同じ。だからこそ、患者達が唯神教徒に狙われるのも、道理というものだった。

 唯神教の言い分を肯定する訳ではないが、確かに魔族になる事が確定している人間を、危険性が無い内に始末する……という話はまだ理解できる。治る可能性も無く、苦しみに苦しんだ挙句、最後に待つのは人ならざる者となり、己が存在を見失って怪物と成り果てる――そんな最後を迎えるくらいならば、死んだ方がマシだという話も、まだ理解できる。ジークとてそのような末路、想像したくもない。

 故に、彼らを慈悲では無く『悪』として、裁くべき罪人としてその命を奪い去る唯神教は、許せるものではない。

「話は理解した。で、俺はどうすればいい。悪いが、協力するとは言っても、そう大体的には動けないぞ」

「それは理解している。……ただ、稀にギルドが送ってくる殲滅部隊を追い返してくれれば良いんだ。……今まではこの地下に隠れてやり過ごして来たが、もうそろそろ誤魔化しきれない」

 それは相手が一部とはいえ、仮にもギルドの面々だ。戦闘は勿論、捜索に関してもプロなのだ。むしろここだけで隠れ続けろという方が難しいのは、ジークもよく分かっている。だからこそ、ジークという戦闘要員が必要なのだ。
 ──その前に、やる事もあるが。

「構わないが、一つ条件を出しても構わないか?」

 あくまで、ジークの道のりはスィーラの幸福、安全が最優先される。でなければ、ジークの行為はなんの贖罪にもならない。故に、そのためにも最低限しておかねばならない事もある。

「俺達は本来、今日中にこの村を出る予定でさ。ここに留まるにしても宿が無いんだ。悪いけど、安全が信頼できる宿を紹介してくれねぇかな」

 ジークは苦笑しつつも、現状
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