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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第14話『魔蝕病』
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、必ず自分達の前に立ちはだかるだろう。その理不尽な押し付けがましい法を振りかざして、忌まわしい呪詛の数々と共に彼女へとその刃を振りかざす。

 故に、唯神教だけは見逃してはならない。味方となる戦力が居る今ならば、尚更の事だ。

「……へぇ、そのエムブレム、『対魔傭兵(リ・メイカー)』のメンバーって事?私の記憶違いじゃなければ、あの傭兵団は人間のいざこざには一切介入しないって聞いたのだけれど」

「メンバーとは言っても『元』だよ、今は一介の旅人だ。……っと、フィン、話を戻すぞ。ここにアンタの『見せたいもの』があるんだな?」

 ギルド跡地で出会った時の彼の言葉を思い出し、この場に来た目的を再確認する。彼はあの場で直接口外する事をせず、敢えてこの場に連れてきた。そこにはそれなりの理由がある筈であり、ジークにアジトを教えるというリスクを背負ってまでそうしなければならなかったという事。

「……あぁ、此処の地下だ。ベガ、開けてくれ」

「はいはい、了解っと」

 女性の名はベガと言うらしい──彼女はフィンの指示に答えてそのナイフを自身の横の床の隙間に突き立て、ナイフを無理に押し込んでいく。やがてその隙間がナイフを根元まで咥え込むと、彼女はナイフを思いっきり横に引き倒した。
 同時に四角状に切り離された床が梃子の原理で持ち上がり、その下に隠されていた梯子が目に入る。小さな穴の先からは微かな光が漏れ出ており、僅かに生活らしき音も聞き取れた。

 フィンがその穴に躊躇無く飛び込み、ジークもまたその後を追う。梯子には手を添えるのみで殆どを自由落下に任せ、着地点直前で厚いブーツの靴底を壁に当て、摩擦によって減衰を掛けていった。フィンが完全に床に降り、横にズレてからジークも完全に手を離し、後は床まで自由落下に任せる。

 そうして着地した先の、松明の火の光で照らされた洞窟を見て、ジークはその両眼を大きく見開いた。


「……げ、ほっ、ケホっ、げほっ……」

「怖い……怖いよ……っ、お母さん……っ」

「あぁ……ごめんね……、ごめんね……っ、ミューレ……お母さんには、何も……!」

「――――。」


 洞窟に居た住人達は、その殆どが病を患っているらしき者だった。


 大人は勿論、老人から子供までとその幅は広く、ところどころで浅黒く変色している肌がいやに毒々しい。咳が部屋中で蔓延し、いくらか無事な様子の人々は磨耗し切った様子でただ患者達の看病を続けている。恐らくは彼らの家族なのだろう、殆どの人々はその目の下に隈を作っていた。
 多くの患者が咳をしている割には、看病者はマスクを着けていない。それでも無事ということは、恐らく彼らの病はそ簡単には感染しないのだろう。しかしそれにしても、このの部屋の中の衛生状態は非
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