Side Story
少女怪盗と仮面の神父 24
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籠った本物の笑顔で。
だからこそ、アンタ達も大変なんだなと頭を撫でられてしまうのは本当に困ったし、何度心の中でごめんなさいと頭を下げたか、数え切れない。
悪い人は一人もいなかった。悪いのは、いつだってシャムロックだった。
なのに……みんな、殺されていた。
殺されていたから、シャムロックは今日まで捕まらなかった。
(……貴族階級の屋敷を飾るに相応しいと判断された品物を持ち出す商人が増えれば、良からぬ考えを持った不穏な連中が周辺に集まるのは当たり前。私の行為が奴らを誘き寄せてたんだ。でも、こんなことって……!)
「イオーネさん達も、盗品に移ったわずかな匂いからネアウィック村に行き着いたそうです。そして、私が預かった教会でオレンジの香りを放つ貴女を見つけた。当初は人身売買を考えたそうですが、貴女を尾行していくうちにアルフィンさんを見つけて、村の内情を知り、イオーネさんの半生にも深く関わった人達と彼らの目的を目にして、気が変わったと言っていました」
「目的?」
「貴女にシャムロックを辞めさせることです。私は、貴女と初めて対面する前日の深夜と早朝の間に彼らと出会い、話を聴いて、協力を請われました」
「! それじゃあ……」
「ええ」
アーレストは、元々イオーネの仲間だから、ではなく。
『あいつら』の協力者として、地方神父着任当日にシャムロックの正体を知ったのか。
アリア信徒でも何でもない怪盗だと知った上で、初対面のミートリッテに積極的な態度を披露し、聖職への勧誘によって自力更生を促していた、と。
それが何故かイオーネと話しただけで『あいつら』を裏切りここに居る。
「彼らは、自分達と同じ過ちと悲劇を貴女にくり返させたくないのだと……本当に必死でしたよ」
女性二人の熾烈な剣戟を目で追いつつ、ミートリッテの耳元に唇を寄せたアーレストは、小さな声で
「女神アリアに仕えているこの私が『教会と女神像の不届きな利用方法』を提案してしまうほどに」
確かにそう、呟いた。
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