第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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女は、ヘカテーは、その男性の背を視界から消えるまで見つめていた。
そして心の中で、少しだけ切なげな口調で問いかけた。
(貴方の御為に……貴方の御命に背く事は……果たして……
貴方に対する……「裏切り」 なのでしょうか……?)
サファイア・ブルーの双眸を閉じる少女の背後に、
絶対の全能者の微笑が幻像の如く浮かび上がった。
【2】
国籍も種類も多種多様な、その配置も精緻を尽くされた調度品で彩られる
豪奢な客間に一人残ったDIOは、
再び左手をスッと差しだしスタンド、
『永 久 水 晶』を発現させた。
DIOの左腕から絡みながらも湧き上がり、具現化する水晶の葛。
その手から数メートル延びた葛の先端がより強く発光し放電現象を
引き起こしながらも上へ上へと立ち昇り、やがて一つの「像」を結ぶ。
浮かび上がったその「映像」は、
上質のシルクのように艶めかしい素肌を露出させた
ドレス姿の美しい女性。
幽波紋の放つクリスタルの燐光に照らされた
眩いばかりのその姿はさながら聖女、或いは女神の似姿。
このスタンド、『永 久 水 晶』 を発現させる時は、
“いつも最初にこの女性が映る”
そしてDIO自身も、この女性のコトはよく知っている。
嘗て、ジョナサン・ジョースター相手に不覚を取り 「首」 だけとなった
己の屈辱的な姿を、敢えて晒した数少ない者の一人なのだから。
DIOはスタンドの映し出す美貌の女性を一瞥すると、
左手から延びた “スタンドに” 甘く危険な口調で語りかける。
「ジョナサン……お前の愛する 『エリナ』 は……もうこの世にはいない……
もう……遠い昔に……死んでしまったぞ…… “ジョジョ” ……」
当然の事ながらスタンドは何も語らず、
ただ透明な光を迸らせ眼前の女性を映し続けるのみ。
「フッ……」
DIOは再び甘い微笑を浮かべると、
葛の絡みついた左手を振り翳しスタンドを「操作」する。
『エリナ』 と呼ばれた女性の姿が静かに立ち消え、映像が反転し、
次々と違う人物をフラッシュバックのように空間へ映し出す。
スタンド使い。紅世の徒。フレイムヘイズ。“ソレ以外の” 能力者達。
そして、『能力』 を持たない者達、“もうこの世にはいない” 人間達。
やがてその映像が、一人の 「人間」 の所で停止した。
裾の長い学生服に身を包み、襟元から黄金の鎖を吊り下げた一人の男。
DIOはその無頼の貴公子に向け、挑発的な笑みを口元に浮かべる。
(フッ……鼓動が……微かに高鳴っている……フフフ……
ジョナサン……“おまえも感じているのか”……?
お前の
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