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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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だけ見開いた視線を麗人に返す。
「茶ノ湯じゃ。一人で飲んでもつまらん。付き添え」
 そう言ってティールームの方角へと踵を帰すエンヤに向け、
「……えぇ」
と端的にヴァニラ・アイスは応え、その後に続いた。
「……」
 後に残された人間ではない少女は、
その二人とは逆方向に足を向け
先刻、己が主の「能力」が映し出した
幽波紋(スタンド)』 の 「映 像(ヴィジョン)」 を反芻(はんすう)する。
 その裡に映った、凄烈なる者の姿を。
「アレが…… 『星の白金』 ……」
 強靱な精神の光で充たされた、栄耀なる瞳の輝き。
「アノ方の……倒すべき……敵……
この私の……討滅すべき……「敵」……ッ!」
 己の意志とは無関係に紡ぎ出される言葉と共に、
透徹の少女の裡で湧き上がる、 『大命』 の焔。
 足下に敷かれた柔らかな絨毯を踏みしめながら、
紅世の少女は一人回廊を歩く。
 その眼前に、一つの人影が唐突に現れた。
「……ッ!」
 額に、軽い衝撃。
 それと同時に空間を舞う、白い大きな帽子。
 ソレを、今自分のブツかった人物の腕から延びた 『もう一つの腕が』
硬質に煌めく白銀の甲冑で覆われた「右手」が、
宙を舞った紅い宝玉と細い金細工で飾られた白い帽子を素早く掴み取り、
手練の手捌きでサッと自分の頭の上に戻した。
「失礼。美しいお嬢さん」
「!」
 若い、男の声。
 今自分とブツかった男性はそう言って非礼を詫び、
(非は考え事をしながら歩いていた自分の方に在ったのだが)
そして自分の頭に戻された白い大きな帽子を
からかうようにポフポフと叩いた。
「……」
 その、自分の目の前に立つ男性。
 銀色の髪をまるで獅子の鬣のように雄々しく梳きあげ、
やや細身だが鍛え抜かれた躯を両腕部が剥き出しになった黒のレザーウェアで包み、
ラフな麻革のズボンを履いている。
 腰元には銀の鋲が付いた黒いサロンが巻きつき、
耳元ではハートの象徴(シンボル)を二つに切り刻んだイヤリングが揺れていた。
 黙っていても、その全身から否応なく発せられる
研ぎ澄まされた細剣(サーベル)のような雰囲気から、
超一流の「遣い手」で在るコトは容易に類推できる。
「ソレじゃ」
 男性は発せられる雰囲気とは裏腹の陽気な声でそう言い、
片目を軽く(つむ)ると脇を通り過ぎ自分の通ってきた回廊を逆に進んでいった。
(……)
 恐らく、次の「大命」遂行者は、今の男性。
 他者の存在を介さない、統世王直々の勅命。
 ソレは、“アノ方自身が” 今の男性に対して絶対の「信頼」を寄せている
という何よりの証。
 その事実に対し何故か無性に、
羨望にも似た感情が “紅世の王” 『頂の座』 の胸中に沁み出ずる。
 少
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