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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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に絶対に我慢できないコトの筈なのに……ッ!
どうして……? どうして “コノ方” には……!
“コノ御方だけには……ッ!”
そんな感情が微塵も湧いて来ないのかしら……ッ!?)
 心の裡でそう煩悶する紅世の少女、ティリエルの胸中で湧くモノは
今まで 『溺愛する兄』 に近づく者に対して抱いてきた感情とは、
対極に位置するモノ。
(そ……そ……そ……ソレ……どころか……も……も……も……もし……!
もし……ッ! ゆ……赦されるのなら……! わ……わ……わ……私も……!
お……お……お……『お兄様のように』……ッ!)
 そこで少女はハッと、そのフランス人形のように可憐な顔を上げる。
 気流に揺れる豪奢な髪が、巻き挙がるように空間を撫でる。
(あぁ……! イケない……イケない……! イケないわティリエル……ッ!
そんな(はしたな) くて不敬なマネ……! コノ御方相手に出来る筈がない……ッ!)
 心中でそう叫び、美少女は鍔広帽子を胸元に抱えたまま、
その触れれば折れるような(くび)を何度も何度も
金色の髪と一緒に振り乱した。
 その愛くるしい仕草に連動して異様に明るい山吹色の火の粉が、
落葉のように次々と空間へ撒き散る。
(――ッ!)
 そのティリエルの、揺れる視界に映ったモノ。
 少女のその、視線の先。
 エメラルドがかったサファイア・ブルーの双眸を携えた少女が、
己の煩悶を咎めるような視線で静華にこちらを見据えていた。
 その零下の美少女、ヘカテーの存在を認識した刹那
ティリエルに湧き起こる激しい憤慨。
(何か、文句、ありますのッッ!!)
 ティリエルは先刻の表情とは対極のキツイ視線で透徹の少女を睨み返すと、
研がれた小刃で張り詰めた糸を斬るように視線を外した。
「……」
 透徹の少女ヘカテーもまた、視線を横に傾ける。
 その、見た目も性格もまるで対極な美少女の狭間では、
先刻の少年がDIOの艶めかしい首筋に手を廻しより強く、
キワどい体勢で抱きついてた。
「フッ……アノ 「剣」 が。
マジシャンズの(つか)っていたアノ 「剣」 が、
気に入ったのか? “ソラト” 」
 ほんの30分程前、妹と共にこの部屋を訪れ
「能力」の映し出す「光景」に魅入っていた少年の様子から
その意図を汲み取っていたDIOは、
今自分の至近距離にいる美少年
紅世の徒 その真名 『愛染自(あいぜんじ)』 “ソラト” に向け微笑を浮かべて問いかける。
「ウンッ! 欲しい! 欲しいよッ! DIOサマ!」
“ソラト” と呼ばれた金髪の美少年は、
嬉々とした表情で何度も頷く。
「フッ……自分の 「欲望」 に忠実なのは良い事だ。
通常は理性の 「タガ」 が働いて、
なかなか素直には成りきれんから
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