第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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神』 を相手にしてさえも。
薄幸短命で在ると定め付けられた己が 『宿命』 すらも
その 「精神」 の力で変えてしまった。
「……」
自分は少女に、シャナに、一体どのような 「生」 を生きて欲しいのか?
マティルダまたはジョナサン・ジョースターのように、
己が存在の全てを賭けてこの世界を護り抜く 『英雄』 としての一生?
それとも、盟友ジョセフのように己を取り巻く 『宿命』 と戦いながらも
人としての 『真実』 を追求し続ける 「人間」 としての一生?
解らない。
一体、どちらが正しいのか。
一体、どちらが 「幸福」 なのか。
どちらを少女が望むのか、また選ぶのか。
今は、まだ、何も。
(……)
答えのでない堂々巡りを繰り返しながらも、
アラストールの心は不思議と穏やかだった。
その 「答え」 を出すのは、自分だけではない、
それが解っていたから。
そう、何も自分だけで、解答を急ぐ必要はない。
もう「自分」という存在は、
“一つではないのだから”
それに、そう遠くない未来に、
「答え」 は出るのかもしれない。
そして、その解答の要の一端は、
自分の脇を少女と歩く “この者” が握っているのかもしれない。
悠久の時を経て受け継がれる、偉大なる血統の一族、
その 「末裔」 で在るこの男 が。
「……」
アラストールは自分の傍らに立つ青年を一瞥した。
その視線(?)に気づいたのか、青年は少女の胸元で静かに揺れる
異界の神器 “コキュートス” に微笑を向けてくる。
「ッ!」
予期せぬ、行動。
その青年の様相はまるで、強大な紅世の王である自分すらも
慰撫するかのようだった。
(むう……此奴……よもや今の所作だけで我の所懐を
見抜いたというのか……? まさかな……)
「フッ……」
そのアラストールの心情を知ってか知らずか、
青年は自嘲気味に笑みを漏らす。
「何笑ってるのよ? ヘンな奴ね」
先程の仕返しとばかりに、承太郎の行動を見逃さなかったシャナが
剣呑な視線で問いつめてくる。
「さぁ、な。アラストール?」
「うむ」
そう言って承太郎とアラストールは互いを一瞥(?)した後、
視線を真っ直ぐ前へと向ける。
「むぅ。何か釈然としないわね」
何だか仲間外れにされたみたいで面白くないシャナは、
横の青年と胸元の王を交互に見る。
やがて、親しげに言葉を交わすジョセフと花京院を先頭とした一行の歩みが、
駅前の交叉路へと差し掛かり巨大なビル群に阻まれていた視界が抜ける。
その、刹那。
少女の両眼が、突如見開かれた。
「……ッ!」
開けた、視界。
数多くの、人々。
街の雑踏、都会の喧噪。
駅前に設置
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