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第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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 己が想いの為に。
 この紅世の王である自分自身の為に。
 その全存在を極限まで燃やし尽くし。
 そして。
 自分の目の前で華麗に散って逝った、一人の、女。
『伝説のフレイムヘイズ』
“初代・炎髪灼眼の討ち手”
 マティルダ・サントメール
 彼女は自分に、フレイムヘイズで在った事を 「幸福」 だと言った。
 眼前に迫る絶対の破滅を前に、長い炎髪を戦風に靡かせながら。
 その時の、儚くも強い笑顔に微塵の偽りも存りはしなかった。
 しかし。
 その存在が、余りにも強く自分に焼き付いて離れなかった為、
知らず知らずの内に自分はこの 「少女」 を、シャナを、
マティルダと 「同一視」 してはいなかったか?
 彼女と同じ 「道」 を歩む事に、
(いささ) かの疑問も持たないようにしてきたのではなかったか?
 共に歩む、自分自身の心すらも。



「……」
 自答を繰り返す天壌の劫火の脳裡に、
盟友の屋敷で閲覧した古びたアルバムの革表紙が思い起こされた。
 その中に納められた、たった一人の 「人間」
 盟友の祖父。
“ジョナサン・ジョースター” その在りし日の姿。
 強大な紅世の王足る自分ですらも畏怖する、
この世の(ことわり) さえも捻じ曲げる絶大なる能力(チカラ)を携えた存在、
『幽血の統世王』
 アノ男を前に脆弱な生身の人間でありながら、
圧倒的な恐怖と絶望を己が精神の力で吹き飛ばし、
その苛酷なる 『運命』 の中、 
「幸福」 と呼べる事など数える程しかなかった短き生涯の中。
「父親」 と呼べる者を二人も失い、友も殺され、
そして、愛する者とも永遠に引き裂かれスベテを失いながら
それでも、マティルダと同じように己が一命を賭してこの世界を、
『最愛の者が生き続ける世界』 を命燃え尽きる最後の(とき)まで懸命に護り抜いた者。
 その哀切ながらも限りなく気高き存在に、敢えて名を冠するのならば、
まさに、真の 『英雄』
 その風貌は、若き日の盟友と酷似していた。
 しかし、その実の 「孫」 である己が盟友は
性格も、能力も、そして歩んだ道程すらも祖父とは全く違っていた。
 盟友は、ジョセフは、強大なる紅世の王ですらも 「食料(エサ)」 の一つとしか見なさない、
ある意味 『統世王』 以上の3つの存在を前にして祖父と同じく命を賭けて戦った。
 己が愛する、たくさんの人々の為に。
 しかしその一方で、命燃え尽きる最後の最後の刻まで “生きよう” とする事を、
絶望しか見えない暗黒の淵で在ったとしても 「人間」 として 『生きぬこう』 とする事を
決して諦めなかった。
 そして結果、本当に生き延びた。
 アノ現世を超えて、紅世をも震撼せしめる絶対存在、
『究極
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