第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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花京院が疑問を口にする。
「おまえの事も 「兄さん」 とか言ってたわね?
弟? おまえの? それにしちゃあ似てなかったけど」
「イヤ、ボクは一人っ子だから」
そう言葉を交わしながら歩を進める3人の前に少々意外な、
そして見知った顔が姿を現す。
「やぁやぁ御三方。今日も勉学御苦労。御苦労」
その声の主はまるで真夏の太陽のような笑顔を浮かべながら、
黒い手袋に包まれた右手を上げて承太郎達に近づいてきた。
「ジョセフ!」
嬉々とした声と表情でシャナが、
「ジジイ、こんなトコで何やってンだ?」
相変わらずの仏頂面で承太郎が、
その声の主、老齢さを感じさせないワイルドな出で立ちの祖父
ジョセフ・ジョースターに問いかける。
「イヤイヤ、SPW財団の日本支部に行った帰りじゃよ。
思いのほか仕事が速く片づいたのでな。
たまには 「孫達」 と昼飯を食べるのも悪くないと想って来てみたんじゃ。
今日は早上がりだとシャナから聞いていたのでな」
そう言ってジョセフは笑顔を崩すことなく3人に告げる。
(!)
シャナは、ソレを聞いてその瞳を輝かせた。
目当ての店を変更する反発は微塵も起こらなかった。
ジョセフと一緒ならば、必ず目新しくて美味しいものが食べられる。
今まで甘いもの以外には興味の無かった食の嗜好の間口を、
大幅に拡げてくれたのは他でもない、 「この人」 だ。
その見た目から敬遠していたイカスミのスパゲッティ
『ネーロ』 等も今では自分の大好きなモノの中の一つだ。
そう期待に胸を弾ませるシャナとは裏腹に、
承太郎は仏頂面のまま祖父に問う。
「やれやれ。ンなコトより、 『DIO』 のヤローのこたぁ何か解ったのかよ?」
孫にそう問われたジョセフは、その豊かに蓄えた白い顎髭に手を当て
少し困ったような顔をする。
「う〜む。状況はあまり芳しくないのぉ。
花京院君からもたらされた 「情報」 で
数ヶ月前、ヤツはエジプトのナイル周辺にいたらしいが
その 「すぐ後」 にはニューヨークでシャナの前に現れておるからな。
文字通り神出鬼没でその居所が全く掴めん」
「……チッ」
短い舌打ちと共に押し黙る承太郎。
今こうしている間にも、一体何人の人間が、
アノ男の底知れない欲望の毒牙にかかっているのか解ったもんじゃない。
「……」
その承太郎の様子に、脇で喜びの表情を浮かべていたシャナの瞳も翳る。
まるではしゃいでいた自分を悔いるような表情だ。
それらを敏感に察知したジョセフが、一度大きく両手をうち合わせる。
渇いた音が鳴り響き、陰鬱な雰囲気が一気に消し飛んだ。
「ま、今日はそう言った暗い話は無しじゃ。
ワシのオゴリでひとつパーッといこうではないか?」
双眸
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