第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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以上傷つけない為に。
そして、己を取り巻く 「宿命」 の縛鎖へ巻き込まない為に
行った 「手段」 だという事を。
「……」
胸の張り裂けそうな、絶望感。
躰の一部を、もぎ取られたかのような喪失感。
様々な負の感情が哀しみとなって、少女、吉田 一美の胸中に押し寄せる。
認めたくない。
認めたくない。
認めたくない。
けれど。
でも、もう、嫌でも、解る。
「彼」 は、遠くに、行ってしまった。
もうどれだけ頑張っても。
もうどれだけ必死に走っても。
決して追いつくコトの出来ない、遙か遠くまで。
きっと。
この 「世界」 の果ての、もっとずっと先の方まで。
“行って、しまった”
「ど、どーしたのッ!? 一美!?」
「吉田さん!?」
彼女の前方にいた池 速人と緒方 真竹が
驚愕の表情で振り向く。
少女は、吉田 一美は、まるでたった一人、
時間からすらも取り残された迷子のように茫然とその場へと立ち尽くし、
そしてその存在が掻き消えたかのような虚ろな表情で、泣いていた。
その瞳から次々と零れ落ちる、温かく透明な雫を隠すこともなく。
口唇を閉じたまま嗚咽すらあげる事もなく。
ただ、泣いていた。
その涙に濡れた少女の頬を、緩やかな早春の風が優しく撫でる。
労るように、その躰を包み込む。
風に靡く、亜麻色の髪とセーラー服。
傍に駆け寄った二人の友人が、蒼白の表情でしきりに何かを問いかけている。
しかしソレは、少女の耳には届いていない。
聴こえるのは、ただ、風の音。
今はただ、それだけ。
音も無く砕け散った、少女の淡い想い。
ソレは、一つの 『運命』 の終曲。
そして、新たなる 『運命』 への序曲。
その確かなる到来を。
少女がこれから進むべき 『光輝ける道を』
現在は、旋風だけが知っていた。
【4】
「本当にオメーじゃねーんだろーな?」
怪訝な視線で承太郎は脇を歩く少女に問う。
「本当よ。何か派手に突っ走ってきたから、
落ちてた 「枝」 にでも躓 いて勝手にズッこけたんでしょ?」
少女は悪びれもせずそう返す。
「それにしちゃあ、ヤケに痣の多い 「ホトケ」 だったぜ。
まるでスタンドでしこたまブン殴られたみてーによ」
「ふぇ? き、き、き、気のせいでしょッ!?」
痛いところ突かれたシャナはまるで悪戯のみつかった子供のように
はわわと焦りながらそう返す。
「それにしても、一体何だったんだろうね? 彼らは?
確か君の事を 「兄貴」 とか何とか言ってた気がするけれど」
生真面目な口調で
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