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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
エピローグ 〜BEYOND THE WORLD〜
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継がれる美学』 『試される男の品格』
等の書籍、更にフィリップ・マーロオや北方 謙三等の文庫本をどっさり買い込んで
授業中にまで熱心に読み耽っていた。
 しかしそれがまさか、“こんな事の為” だったとは。
「く、空条の 「兄貴」 って、学年同じじゃん」
 緒方はその二人の「背景」を知らない為、
事態についていけない困惑で田中に言う。
「ッ!」
 その隣では、吉田 一美がやや俯き加減だった顔をいつのまにか上げていた。
 自分の邪推かもしれないが、どうも 「空条」 という名前が挙がった瞬間のようだった。
 脇では、緒方と田中が口論めいた口調で言葉を交わしている。
 何か端からみてると、頑固親父と世話女房という構図に見えないコトもない。
「やめときなって! きっと他の子みたいに “うっとうしいぞ!” って怒鳴られるよ!」
「そんな事はどうでも良い! 俺はアノ人こそ!
真の 『男の中の(オトコ) 』 だとようやく理解したんだ!
最近の 「兄貴」 は! なんだか知らんが前より一段と 「凄味」 を増した!
まるで得体のしれないナニカが乗り移ったかのようだッ!
「男」 っていうのはあーゆー人の為に働くものだ!
そうだろう! オガタ君!」
「そ、そうだろうって言われても、私 「女」 だし……」
 田中に 「女」 扱いされてないコトを少しだけ寂しいなと想いながら、
緒方は血気盛んな少年を押し止める。
「だからってTPOを考えなよ。 「明日」 にしたら? 今日は絶対マズイって。
「姫」 サンも傍にいるしさ」
「明日?」
 出来るだけ平淡な口調を務めた緒方の言葉に、突如田中の表情が引きつる。
「明日の次は、一体何を妥協するんだ? 人がいっぱいいるから人のいない休日にしよう。
今日は月曜で機嫌が悪そうだから休み前の土曜日にでもしようとでも言うつもりか!?
この俺はッ!?」
 自問自答なのか緒方に対する反論なのかよく解らない口調で
田中は強く言い放つ。
 そのいつもと違う田中の声の迫力に気圧されたのか、
吉田 一美が自分の影に隠れるようにして二人を見つめていた。
「場所は此処だッ! 時は今だッ!
例え何が起ころうとソレは 「運命」 の一部だ!
「天」 がそうだと告げているッ!」
 そう叫んで田中は何故か照りつける太陽に向けて両腕を広げた。
「……」
「天」 と 「運命」 は概念的に似たようなモノなのだが。
 池は想わずそうツッコミそうになったが止めておいた。
 どうやらいつもはコレ以上ないという位人当たりの良い友人は、
今は自分で自分の言葉に陶酔しているらしく精神のベクトルが
かなりヤバイ方向に驀進しつつあるらしい。
 自分に出来る事はせめて、傍らで怯える可憐な少女の影になってやる事位だ。

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