インフィニット・ストラトス 黒龍伝説
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れた。私の隣に誰か、男の子がいない。その男の子は時に強くて、時に優しくて、時に賢くて、時に弱くて、時に厳しくて、時に馬鹿で、目を離せない存在。そんな男の子を私は知らない。知らないけど、知っている気がする。
そして隣にその男の子がいないことがとても悲しいと感じる。それは日常のふとした時に感じる。紅茶を飲む時、料理をする時、勉強を教える時、お姉ちゃんと会話をする時、朝目が覚めた時、夜星を眺める時。知らず知らずのうちに私は涙を流す。
その理由が今日はっきりと分かった。あの黒紫の騎士を見て。全てを思い出す。私に足りなかったものを。時間がかかるどころか世界が変わってしまったけど、また、巡り会えた。私の最愛の人、私の騎士、天を覆う黒蛇龍帝、匙元士郎。
試合が終わると同時に駆け出そうとして、踏みとどまる。私の勘違いだったらどうしようと、もし勘違いだったら、もし忘れられていたら、もし信じてもらえなければ。そう思うと足が動かなくなる。けれど、思い出す。試合中のあのイライラした顔を。
多分、私と同じ。足りなくて、感情がコントロールできていない。若かった頃の私と同じだ。いや、前世で若かったころよ。今はもっと若いし。
とにかく、会ってみないと始まらないと決心して寮の屋上に向かう。部屋の都合で屋上にテントを張っているのは周知の事実だし、土曜日にはベーコンの燻製をやっていた。相変わらず、趣味は変わっていないようだ。
屋上のドアを開けると、そこには紅茶を入れるためにカセットコンロでお湯を沸かしている元士郎がいた。向こうも私に気づいたのか、顔を向けて傍にずっといたからこそ分かる程度に驚いていた。
「あ〜、オレはお邪魔になるか?」
「ううん。貴方に用があって、いえ、そうじゃなくて、その、■■■■■」
その言葉に劇的に反応が返ってくる。
「ま、さか、ソーナ、なのか」
「そうです。元士郎」
元士郎に名前を呼ばれて、涙がこぼれる。元士郎も涙をこぼしている。
「ま、また、会えるなんて、おも、思わなかった」
「わた、しも、です」
次の瞬間には二人で抱きしめあって、互いがそこにいることを確かめ合うように、強く、強く、抱きしめる。
しばらく抱きしめあった後、元士郎が結界を張って、誰にも邪魔をされない環境を作り上げてからテントに移動する。それから、元士郎が私が亡くなってからどうしていたのかを語ってくれた。その話を聞いて、悲しくなる。私と一緒にいた期間よりも、ずっと長い間生き続けてきた元士郎に、あの言葉を残すべきではなかったと。
『生きられるだけ生きて』
その言葉を守って、本当に生きられるだけ生き続けたのだ。
「ごめんなさい。辛かったでしょう?」
「いいさ。こうしてまた出会えたから。また、オ
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