前書き
[2]次話
今日はどうやら8月15日らしいですね。
長く悪い悪夢がやっと終わった気も致しますし、心地のいい夢が突然終わってしまったような気も致します。そして兎に角わたくしには時間がございません。手早く事を済ませましたら早急に死ぬ予定ですので、文がおかしかったりですとか漢字の誤りですとかは、どうか大目に見てくださいませ。
そして、皆さまに踏まえておいていただきたいのは、今からわたくしがお話しいたしますことは非常に曖昧だということです。
ですから細かいことを質問されても正確な返答は致しかねます。
なんせ、今でさえ視界が桃色の霧がかかり、耳の奥では穏やかなハープとピアノの優しい音楽が流れているのです。
もしかすると、私は薬物中毒者だったのかもしれません。もしかすると、私はずっと長い間重い病を患い昏睡状態だったのかもしれません。
一つ断言できることと致しましたら、長く続いていたことが今朝急に終わってしまっていたということでしょうか。
それは何よりも美しかった気がいたします。
長年生きて参りましたが、きっとこの夢(と呼ぶことに致しましょう)以上に美しいものは見たことがありません。
それが急に私の前から姿を消してしまいましたものですから、死ぬことを決心いたしました。
わたくしのような老いぼれには遺書などは必要御座いません。
「夢のような、美しい、そんな世界があった」ことをどうかこの汚い世の中に残すことが出来ましたら本望でございます。
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