第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#END
戦慄の暗殺者FINAL 〜LAST IMPRESSION〜
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放射状の亀裂が走った瓦礫の海原にて、
引きつるように細身の躰を震わせる紅世の王。
最早彼に、戦う力は微塵も残されてはいない。
宝具を操る力も、自在法を編み込む力も全て、
一片も残さず空条 承太郎によって放たれた
『流法式祁』 によって跡形もなく殲滅され、
今やただそこで生きているだけ、ただ呼吸をしているだけの存在と成り果てた。
「……」
しかし、何もかも、大切な者も立ち上がる力すらも失ってしまった彼だったが
奇妙な事にその心の裡は波打ち際の夕凪のように澄み渡りつつ在った。
静かに、そして穏やかに。
そう、何かが、フッ切れたように。
深い哀しみの憎悪と絶望で充たされいたパールグレーの双眸は、
今再び元の宝石のような光を取り戻しつつ在った。
そのフリアグネの耳元に届く、衣擦れの音。
「……」
傍に、立つ者。
燃え盛る灼熱の双眸と火の粉舞い散る紅蓮の髪を破滅の戦風に靡かせる、
凄絶なる一人の少女。
その少女の右手に握られる 『討滅』 の刃は、
刀身に炎を円還状に集束させ加粒子に近い状態で刃に宿す
強靱無比なる閃熱の劫刃。
『贄殿遮那・煉獄ノ太刀』
遣い手−空条 シャナ
破壊力−A++ スピード−シャナ次第 射程距離−C
持続力−D 精密動作性−シャナ次第 成長性−B
フリアグネの瞳には、目の前に佇むその少女の姿が
まるで、 『天使』 のように視えた。
最愛の彼女の処 へ、“マリアンヌ” の許へ、
自分を送ってくれる、“御遣い” のように。
「……フッ」
それならば、と力無く微笑ったフリアグネは灼けつく躰を引き起こし、
座り込んだままの姿勢で幼子がやるように左手をゆっくりと拳銃の形に模すと、
再びゆっくりとその銃口の先端をシャナの方へと向ける。
「!?」
最早万策尽きた己の奇妙な行動に、
疑念の表情を浮かべる炎髪の少女に向けて。
全霊を尽くしてブツかり合った存在に向けて。
「……フレイム……ヘイズ……」
フリアグネは翳りのない微笑を浮かべたままそう呟き。
「この……討滅の……道具め……」
そう片目を閉じてからかうように小さく、
「BANG」 と指先を弾いてみせた。
ズァッッッグゥゥゥゥゥゥゥ――――――――ッッッッッ!!!!!
「うる……さい……」
少女の呟きと共に、強い踏み込みで全身の力一点に連動させて放たれた
渾身の袈裟掛けにて、融解した鋼の如き灼紅の劫刃が
フリアグネの左肩口を透して躰の中心部に叩き込まれる。
「……ッッ!!」
最早、声というモノは、なかった。
存在そのものを灼き斬られるような激しい「痛み」と共に、
途轍もない
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