第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#END
戦慄の暗殺者FINAL 〜LAST IMPRESSION〜
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カケラ》を手に掬いながら、
花京院は震える背を向けたまま言った。
「……彼……は……フリアグネ……は……決して……「幸福」 には……
なれない運命の……男だった……もう既に……ソレだけの事を……
行って……しまっていたから……」
もう少し早く、「別の形」 で出逢えていたならば。
馬鹿げた考え、でも、そう想わずにいられない。
「でも……自分以外の……「誰か」 に対する気持ちは……それだけは……
「純粋」 な……ものだったと想う……少なくとも……このボクは……」
「……」
空条 承太郎は、黙って花京院の言葉を聞いていた。
否定も肯定もしなかった。
例え敵であろうと、数多くの人間を殺してきた咎人であろうとも、
花京院とフリアグネ、両者の関係は、その中で生まれた互いの気持ちは、
この世界で二人だけのものだから。
「……」
花京院は、手の平に遺ったフリアグネの残霞を
自分の左胸に捺し当てた。
その存在を、己に刻むかのように。
これから、フリアグネは、自分の裡で生きる、
自分の存在、『幽波紋』 『法 皇 の 緑』 と共に。
「これで……ずっと……忘れない……」
左胸に手を捺し当てたまま花京院は徐 に立ち上がり。
「おやすみ……」
両目を閉じ、誰もいない瓦礫の墓標に向けて、静かに哀悼を捧げた。
「……」
両手をポケットに突っ込んだまま、押し黙る承太郎の視界の端、
空間を舞い散る白い飛沫が完全に消え去ったその瞬間、
力無く瓦礫の上に崩れ落ちる少女の姿が在った。
「ッッ!!」
咄嗟に出現させたスタンドで足下の瓦礫を踏み割り、
超高速で少女の元へと移動し承太郎はその躰が瓦礫へと伏する前に抱き留める。
「……」
腕の中の少女の躰は、信じられないほどに小さく、そして頼りなく、
そしてその存在が身の丈以上の大刀を振り翳して戦っている事など
想像もつかない程の軽さだった。
その少女は、もう荒くすらもない本当にか弱い息遣いで
静かにその閉じられた双眸を開く。
儚く己を映す、真紅の双眸。
しかし最早その裡に、
初めて視た時のような鮮烈さや凛々しさはもう見る影もなく、
ただただ戦いに傷ついた少女の瞳が其処に在るだけだった。
「ッッ!!」
そして、そのスタンドに抱き留められた少女の方も、
眼前の事実に双眸を見開いて驚愕する。
今、自分を。
他の人間には視えない「もう一つの腕」で支えてくれている
青年のその躯には、夥しい数の傷痕が刻まれそこから流れ出る鮮血が
全身を染め上げていた。
躯の至る所についた、鋭利な武器による創傷や擦過傷、
引き裂かれた極薄
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