第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#END
戦慄の暗殺者FINAL 〜LAST IMPRESSION〜
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君と共に……生きられて……そして……アノ方に……出逢えて……
私は……私は……本当に……幸せ……だった……本当に……
本当……に……)
やがて、空間に散華する白い飛沫と共に、
フリアグネの躰は、ゆっくりと地球の 「引力」 に誘 われ、
背後へと、堕ちていく。
そのパールグレーの双眸も、静かに、閉じられていく。
まるで、彼の生命の、その存在の終幕を、そっと降ろすかのように。
(……今……すぐ……傍へ……いくよ……
今度は……もう……離さない……
ずっと……一緒だよ……
永遠に……永……遠……に……
私の……私……の………………)
“マリ……アンヌ…… ”
「オッッッッッラァァァァァァァァァ――――――――――――――ッッッッ!!!!」
勇烈な駆け声と共に 『火車ノ太刀』 の構えで。
大刀を振り抜いた体勢のまま一気に駆け抜けるシャナ。
「……」
一際鋭く、飛び散る純白の炎。
その瞬間、フリアグネは糸の切れたマリオネットのように、
力無く地に伏した。
天を仰ぐその躰を、舞い落ちる純白の長衣にそっと包まれて。
そして、その白炎を司る壮麗なる紅世の王は、
もう二度と、立ち上がる事は無かった。
その理由も必要も、最早存在しなかった。
【2】
静かに立ち上る、存在の燐火。
瞳を閉じたまま瓦礫の上に伏する紅世の王。
その、白い生命の残光。
承太郎とシャナは、黙ってその存在の終焉を見届けていた。
善悪はどうあれ己が死力を尽くして戦った相手に対する、
コレが彼らなりの 「敬意」 だった。
その沈黙を突如打ち破る、一つの、声。
「フリアグネッッ!?」
二人の間に来訪した、第三者の声。
「!!」
「!?」
先刻、本体とスタンドの蹴りでブチ破られた鉄製のドアから、
上がった声の主を認識する間もなく、花京院 典明は駆け出していた。
瓦礫の海の上でたった一人、いま正に死の淵に瀕している彼の元へ。
フリアグネの元へ。
その空間を駆ける美男子の心中で湧き上がる、一つの声。
もう一人の、自分の声。
“彼は 「悪」 だ!”
そんな事は解っている!
“数多くの人間を! 己が 「目的」 の為に犠牲にした!”
そんな事は解っている!
なら、何故?
今、駆け出すのか?
それは。
それ、は。
“こんなヤツでも 『友達』 だからッッ!!”
誰よりも何よりも自分の存在を必要としてくれたから。
ソレ以外の理由なんて何もいらない。
「フリアグネッッ!!」
花京院は、仰向けの体勢で地に伏していたフリアグネの肩を掴んで、
優しくそっと抱き起こした
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